世界の旅行業界でも、ChatGPT(チャットGPT)活用が急速に進んでいる。旅行で生じる「重大なトラブルになるほどではないが、気に障ること」にアプローチする手段として、ChatGPTを役立てることができるかもしれないのだ。
「インスタグラムとブッキング・ドットコムの間にあるスキマに注力したい」
これはイギリスに拠点を置く旅行系のスタートアップOrbzii(オーブジイ)が、メディアからのインタビューの中で語った言葉だ(i)。同社は「友達のように、あなたが好きなこと・嫌いなことを知り、そのうえで最高の休暇を提案したい」というコンセプトで旅行アプリを提供している。AI活用にも注力している企業だ。
冒頭の一節は、世界の旅行業界でChatGPT活用が急速に進んでいる状況を、筆者が調べている中で見つけたものだが、とても印象深い。「インスタグラムとブッキング・ドットコムの間」には何があるのか。残念ながらこのインタビュー記事の中では深掘りされていなかったため、Orbziiの見解は分からない。よって、前述の一節を手がかりに推察したい。
インスタグラムとブッキング・ドットコム、それぞれが象徴している役割は何か。「インスタグラム」は、旅の楽しさ、誘引する要素の発見を可能とする。おいしい料理、ホテルのきれいなロビー、間近で見るキリンなど日常生活では味わえないアクティビティーを記録し、発信する。そんな、思わず人に伝えたくなる旅の魅力の伝達が、旅行におけるインスタグラムの役割だ。
一方で、「ブッキング・ドットコム」は、ホテルや交通手段を分かりやすく見比べて、手ごろな価格で予約することを可能とする。同サービスを運営するBooking.com B.V.の創業時からの理念は「人々が世界を自由に体験できるようにする」。また、元CEOのギリアン・タンズ氏は2017年のインタビューで、「ブッキング・ドットコムの業務は、旅行者の不便を取り除くこと」と答えている(ii)。このような旅に伴う手間の省略がブッキング・ドットコムの役割だ。
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