「不便」を解決するサービスと、「さびしさ」を解決するサービス、強く求められるのは後者だろう。不便はある⼀時点において解決策があれば解消されるが、さびしさは継続的に解決策が存在し続けなければならないからだ。⼤きく性質が異なるそれぞれを、「ねじ回し」と「ネコ」に例えて考えてみたい。

(写真/Shutterstock)
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 「あなたがいなくて、不便です」と言われてもあまりうれしくない。一方で、「あなたがいなくて、さびしいです」はうれしい。「不便」にせよ、「さびしさ」にせよ、日常会話でここまで直接的な表現を取ることはなかなかないが、「不便」と「さびしさ」のどちら側の評価であるかは大きな違いがある。一体、何が違うのか。それぞれが解決される様子から、考えてみたい。

 「不便」の解決は、ねじ回しのようなものだ。緩んだねじという課題を前にしたとき、ねじ回しがないと困る。なかなか他の道具では代替が利かない。ところが、ねじの締め直しが済むと、とたんに用無しになる。なんなら、部屋の美観を損ねるから、さっさと納戸にしまいたい。

 一方、「さびしさ」の解決は、ネコのようなものだ。一度、ネコがいる生活が始まってしまうと、その不在が耐えられない。出張中など、会えぬ日が続くと「元気かな?」と思い出す。よそのネコを見たり、コンビニでキャットフードを見かけたりするたびに、うちの子を思い出す。帰宅後に無事再会を果たすと満ち足りた気持ちになる。いっとき、満ち足りたからといって、愛猫を納戸にしまうことはない。ずっとそばにいてほしい。

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