「買った後」も顧客のロイヤルティーを保てるコミュニケーションとは、どのようなものだろうか。製品のネットワーク接続が可能になり、企業がコネクテッド由来の顧客データを得られるようになった今、新しいアプローチでのコミュニケーションが考えられるだろう。
おもしろいグラフを見せてもらった。ハイテク耐久消費財における、NPS(ネット・プロモーター・スコア)の経時変化を示したものだ(下図)。NPSは顧客のロイヤルティーを測る指標としてよく使われている。このグラフによると、ロイヤルティーは買ったときをピークとして、低下し続けている。新しいハードを購入したときの高揚感は開封時が最大であり永続しないのは経験上分かるが、それが定量的に示されている。
これは何種類かのハイテク耐久消費財を対象とした、購買後追跡調査の結果から作成したものだ。調査をしたのは、電通デジタルのエグゼクティブトランスフォーメーションディレクター、大木真吾氏だ。
マーケティング領域のデータ活用に詳しい大木氏はこのグラフを踏まえて、次のように言う。「これはもちろん望ましいことではありません。買ったときをピークとしてロイヤルティーとの関係が深いNPSが下がっていけば、低いロイヤルティーのまま買い替え時期を迎える可能性が高くなってしまいます」
では、買った後にロイヤルティーをリフトアップするには、どんな施策が考えられるのか。また、そこでデジタル活用はどのように寄与するのだろうか。以下、ハイテク耐久消費財を題材に大木氏の話を聞いた。
“モノ”への熱が冷めるのはどうしても避けられない。特にハイテク製品は、新型機の投入サイクルも早く、目移りするだろう。モノへの熱が長期にわたって冷めないようにするには限界がある。
そのため、モノへの熱が冷めないうちに、モノの魅力に依存しない関係を、顧客との間につくる必要がある。具体的には、そのモノを包含するブランドや、提供する事業者に対するロイヤルティーを高めるということだ。そうすれば、次の買い替えのタイミングにおいても、ブランドや企業に対するロイヤルティーの高さから、同じブランドの新型に買い替えてくれる可能性が高くなる。
では、モノの魅力に依存しない関係を築くために、顧客とどのようなコミュニケーションを取るべきなのか。また、ハイテク耐久消費財のネットワーク接続が可能になり、企業はコネクテッド由来の顧客データが得られるようになった。こうしたデータはどのように力を発揮するのだろうか。
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