モノや行動、気持ちを「共有」することによって、人と人との関係はつくられる。こうした考え方は、事業者と顧客の間にもいえることではないか。特に、事業者が一方的に情報や製品を提供するという旧来型のモデルから、コミュニティーづくりのような横のつながりが重視されるようになった近年においては、なおさらだ。

(写真/Shutterstock)
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 フェリックス・オーバーフォルツァー・ジー氏は、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の教授だ。彼の体験談を要約して紹介する(i)

 ジー氏は友人の誕生日に花を贈るつもりでいた。ところが、それを失念。誕生日の数日後に、遅ればせながら花屋に注文の電話をした。配達はいつがよいかと尋ねられた際、自分が失念していたこと、それゆえにできるだけ急いでほしい旨を伝えた。それを受け、販売員は何と言ったか。「配達が遅れたのは、店の責任だと言っておきましょうか?」と提案したのだ。

 これには、さしものHBS教授も驚いた。「自分のために販売員に嘘をつかせたくはなかったので、その申し出は断った」というが、がっちり心はつかまれた。なお、本当に申し出を断ったかどうかは、筆者は検証できない。

 翌年、友人の誕生日の数日前に、その花屋から「そろそろ誕生日ですが、今年はどうしますか?」という見積もり付きのメールが届いた。少し価格が高いと感じたものの、喜んで注文したという。

 この話を聞いて思い浮かぶキーワードは「秘密の共有」だ。本件では未遂であるものの、秘密を共有することは花屋と顧客の関係に影響する。これを一般化すると、「共有が顧客との関係に影響を与える」という話になる。共有することで、両者の関係に影響するものは秘密だけではないはずだ。

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