組織の中で日々回る業務。問題が何もないわけではないが機能している。そんな仕組みを変えることをためらう気持ちはよく分かる。また、非効率だろうが、時代遅れだろうが、その業務に慣れて愛着を持っている担当者が間違いなく存在している。その人の心情を無視して仕事の仕方を変えようとすると痛い目にあう。

(写真/Shutterstock)
(写真/Shutterstock)

 社内でのIT活用推進とそのための教育を進める施策の中で、うまいやり方だな、と思った手口がある。「あなたが一番“面倒”だと思っている業務を持ってきてください」というものだ。自分が担当しているキライな業務を題材に、電子化や自動化の方法を教える。高度なことをするわけではないが、ITで業務が変わる喜びを理解してもらうには良い方法だ。

 自分が担当している業務だから、その業務のやり方には当然精通している。また、面倒だと思っている業務なので愛着もない。変える対象を理解し、変えることに抵抗がない。あとは変える方法さえ伝えれば、自ら変えようとする。さらに、変化によって楽になった経験を持つ人は、能動的に小さな変化を起こすようになる。

 上では「面倒」とひとくくりにされているけれど、面倒くささを表す頻出キーワードはいくつもある。言い換えれば、現場担当者を味方にするためのくすぐりどころだ。例えば、目視、転記、差し替えなどが該当するだろう。いずれもITと相性が良い。「目視」は画像解析、「転記」はRPA(Robotic Process Automation)、「差し替え」「原本」にはタブレット活用などによる電子化の可能性を感じさせる。

 業務における面倒なトラブルもキーワードとなる。例えば、二度手間、取り違い、手待ち、不測の事態、紛失、緊急対応などが相当するだろうか。業務が止まっているわけではないが、これによって残業が増えている担当者には響くかもしれない。二度手間に愛着を持っている担当者は存在しない、とは言い切れないが少数派だろう。

この記事は会員限定(無料)です。

有料会員になると全記事をお読みいただけるのはもちろん
  • ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
  • ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
  • ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
  • ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー
ほか、使えるサービスが盛りだくさんです。<有料会員の詳細はこちら>
7
この記事をいいね!する