あなたはなぜ働くのか? 「面白いから」? あるいは「やらなければならないから」? それとも「やらないと叱られるから」? 自己決定することが高いパフォーマンスをもたらすとする「自己決定理論」。これをパーソナルデータ提供の話と絡めて考えてみるといろいろと発見がある。「高い自己決定レベルで同意をしている顧客」と「良い顧客」に関連が見つかると面白いことになりそうだ。

(画像/Shutterstock)
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 同じ会社の同じ部署で働いている同年代の社員であったとしても、働き方やパフォーマンスが全く違うということはよくある。なぜそうなるのか。これは昔からある疑問であり、心理学などでよく取り扱われるテーマだ。筆者も学生時代に、社会心理学の授業で聞いた記憶がおぼろげながらにある。

 代表的な研究が「自己決定理論」だ。自己決定理論とは、「人間のモティベーションに関する基本的な理論で、学ぶこと、働くことなど多くの活動において自己決定すること(自律的であること)が高いパフォーマンスや精神的な健康をもたらすとする理論」である(i)

 学習を例に取ると、自己決定の度合いは次のように分類される。

  1. 学習したいと思わない(無動機づけ)
  2. やらないと叱られるから、やると報酬がもらえるから(外的調整)
  3. やらなければならないから(取り入れ的調整)
  4. 自分にとって重要だから(同一化的調整)
  5. やりたいと思うから、価値観に合うから(統合的調整)
  6. 面白いから、好きだから(内発的動機づけ)
※付番は筆者。番号が若いほど自己決定の度合いが低い

 なぜ、改めて自己決定理論を紹介したのか。それはユーザーがパーソナルデータを提供する際の同意のパターンにも見えるからだ。そもそもパーソナルデータ提供に関する同意にはどういうパターンがあるだろうか。

 1つは、自身に関するデータを提供することで、利用するサービス・機能について直接の便益があるパターンだ。例えば「配信情報や機能をパーソナライズしますのでデータ利用を許諾してもらえませんか?」といった状況が相当する。その便益が不要だったり、不十分と感じたりするのであれば許諾しなければよい。

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