車や歩行者と一緒に街並みを走行するトラム(路面電車)が高度化しつつある。イスラエルやイタリアのトラムは、各種のセンサーやアルゴリズムを駆使し、スムーズな運行を実現。所要時間の短縮や利用者増加につなげている。センサーを搭載し、定期的に街を巡回するトラムの役割を進化させれば、様々な用途に応用できそうだ。
NHK総合テレビで放送されている「ヨーロッパ トラムの旅」が大好きだ。ベルリンやプラハ、アムステルダムといった欧州の街をトラム(路面電車)が走る様子を淡々と映している。ナレーションが一切ないことも大変良く、仕事中には録画した「トラムの旅」をBGM代わりにずっと流している。
筆者は普段、路面電車を使う機会がない。いつも利用する鉄道は車道や歩道とは隔絶されている。そのため、トラムが自動車や歩行者の間を走っているのがとても新鮮だ。運転手目線の映像の中で、車がすぐ近くを走っていたり、すり抜けるような横断を試みる歩行者がいたり、ヒヤッとすることもある。
歩行者や一般車両に交じって走るトラムについて、情報通信技術でその運行を高度化する取り組みは世界中で進んでいる。例えば、イスラエルで2009年に創業したスタートアップ「アクシリオン」はその一社だ(i)。
アクシリオンは、トラムの通行を優先しながらも、一般車両が渋滞しないようにする信号制御技術を11年までに開発。交差点に設置されたセンサーと、独自のアルゴリズムにより構成されている。これにより、エルサレムのトラム運行の所要時間は80分から40分に半減した。便利になったためか、乗客数は4万人から20万人に増加。現在は、その技術を武器に米国にも進出。ニューヨーク5番街でのバス路線を対象とした実験も成功させている。
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