課金するほどハマっている「ピクミンブルーム」。実際の歩数が反映される位置情報ゲームだが、自身のキャラクターを武器などで強化するための課金ではなく、これから歩く“機会”に対して金を支払うという仕組みが面白い。ゲームだけでなく、ダイエットなど、似たような発想の取り組みは色々ありそうだ。

自分の”成長機会”には課金してしまう?(写真/Shutterstock)
自分の”成長機会”には課金してしまう?(写真/Shutterstock)
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 生まれて初めてスマホゲームに“課金”をした。そのゲームは任天堂と米ナイアンティックによる「ピクミンブルーム」。架空のキャラクター「ピクミン」が登場する位置情報ゲームで、スマホを持って屋外を歩けば歩くほど、ゲーム内で一緒に連れて行けるピクミンの数が増えていく。どの種類のピクミンを選ぶかにもよるが、だいたい1000歩から5000歩を歩くごとに1匹増やせる。

 ピクミンブルームは、スタート当初は一切課金の必要がないのだが、無料のままだとピクミンを保有できる上限は300匹まで。この上限を拡張するには課金する必要がある。ここにハマり、まんまと課金し続けている。

 例えば、他のロールプレイングゲームなどで武器や能力を手に入れて“勝利”するための課金だと「そこまでやる必要はないなあ」と思ってしまうけれども、「自分がこれから頑張って歩く記録(としてのピクミンの数)」の上限を拡張できるとなると話が別だ。

 そもそも健康のためならばゲームもせずにただ歩けばいい。しかし、自分が歩いた頑張りがいとおしいピクミンによって一度可視化されるようになると、その可視化される上限をつい解除したくなってしまう。

 これは本来は変な話だ。なぜ、自分が頑張ることに課金しなければならないのか。例えば、所得税や法人税は本当に心が痛む。頑張って稼げば稼ぐほど、結果として納める金額は増える。理屈としては、ピクミンに貢いでいるのと同じような話なのだが、何が違うのだろうか。