ペットとLINEで会話ができる「waneco talk」。現在のNECでは珍しくB2Cを対象とした事業だ。立ち上げたのは、NECで金融業界の担当を30年間務めたシステムエンジニア(SE)。心に灯(とも)した情熱を求心力にして周囲やユーザーを巻き込み、新事業をスタートさせた苦難の道程を聞いた。
自宅で留守番をしている愛猫に、LINEで「何してる?」と尋ねると「運動してたよ!」と返信がくる。このような愛するペットの状態を推察できるのが、「waneco talk」だ。三軸加速度センサーと気圧センサーから得られたデータをAI(人工知能)が分析することでペットの状態を推定し、LINEメッセージに変換する。
開発したのはNEC。かつてのNECは家庭用ゲーム機「PCエンジン」などB2C向けエンターテインメント製品も手掛けていたメーカーだが、今は大企業や官公庁向けのB2B事業者が中核だ。そんなNECがなぜ今になって新たにB2C事業を行うのか。そしてなぜペットなのか。
waneco事業を立ち上げ、そのリーダーを担うのが同社の環境分析事業推進室室長である福田健二氏。福田氏は、NECで30年間一筋に金融業界を担当してきたシステムエンジニアだ。B2Cともペットとも何の接点を持たないように思えるが、なぜこの領域に取り組んだのだろうか。福田氏に話を聞いた。
――なぜペット市場に注目したのでしょうか?
福田健二氏(以下、福田) まず何よりも、私が我が家の先代りんちゃん(イヌ、女の子、15歳没)と新しく迎えたかりんちゃん(イヌ、女の子、7カ月)を深く愛しているということをお伝えしておきたいです。ペットは家族であり、彼女らに尽くすことこそが私の喜びなんです。会社の事業である以上もちろん収益は重要ですが、私のようにペットを家族と考える人のための事業を始めたかったというのがきっかけです。幸いだったのは、同じ考えを持ち、後押ししてくれる仲間がNECの中に多くいたことですね。
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