創業時に掲げた「我が社の社会的役割」を忘れることなく事業を続けることは難しい。だが、産業財団モデルを採用することで、創業時のパーパスを維持し続けることはできる。それを実現しているのが、4つの役割によってグループの統治を行っているドイツのロバート・ボッシュ社だ。

(写真/Shutterstock)
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 「我が社の社会的役割」を忘れることなく事業を続けることは難しい。数字で示される「今期の財務的目標」はとても強力で、ついついそちらに引きずられてしまう。短期的な施策の繰り返しでどうにかなっているうちはまだいいが、「昨年対比」の財務指標しか見てこなかったツケは、企業が大きな変化と直面したときに払わされることになる。

 歴史ある大企業がデジタル活用による大きな変化を進めようとしたり、新規事業を立ち上げたりするときに迷走することは極めて多い。その一因は「我が社の社会的役割」が不明瞭なことだろう。「本業の売り上げが減るからそれを埋めるために利益○億円を目指して新規事業をするぞ!」という内向き論理で検討が始まるが、本業に比べると規模が小さいからやる気が出ないし、強い信念があるわけではないのでなかなか決められない。

 どの会社も創業時には「我が社の社会的役割」、すなわちパーパスがあった。しかし、長い年月の中で創業メンバーがいなくなったり、M&Aを繰り返したり、規模が大きくなったりして忘れ去られてしまう。パーパスを意識し続けるための「維持装置」となる機関やルールはどのように設計・運営されるべきなのだろうか。

 英オックスフォード大学のコリン・メイヤー教授は『株式会社規範のコペルニクス的転回』(東洋経済新報社)の中で「創業者によって定められた目的、原理、価値観を順守するよう監督する」ための組織として「産業財団」を紹介している。

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