新型コロナウイルスなどの感染予防や気象予測、宇宙産業まで、官業と民業の垣根を越え、“かゆいところに手が届くサービス”を提供する企業が次々と登場している。行政が提供、管理するデータとさまざまなシステムを連動させて生まれたソリューションがビジネスを変える。官業と民業の境が崩れるときは大きな商機でもある。

(写真/Shutterstock)
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 どん底の危機にあった弱小球団を、新任のゼネラルマネジャーが独自の理論でよみがえらせる映画『マネーボール』(2011年)。その原作者として知られるマイケル・ルイス氏の新刊、『最悪の予感 パンデミックとの戦い』(早川書房)がとても面白い。米国政府における新型感染症対応の奮闘と混乱を描いたノンフィクションだ。何人かのキーパーソンを軸にストーリーは進行する。全編にわたって面白いが、本書を締めくくるエピローグには驚かされた。

 キーパーソンの一人であるチャリティ・ディーンは公衆衛生の専門家だ。本書を通じて、行政官として奮闘していたが、連邦政府との確執などを経て退職した。その様子は、エピローグの中で以下のように示されている。

 「感染症予防は公衆の利益だが、公衆がみずから進んでじゅうぶんな対策に努めるとは期待できない。アメリカ文化の観点からすると、感染症の予防は「カネにならない」のだ。チャリティは、何とかして、感染症予防を金銭的な利益につなげたいと考えた」(本書383ページより)

 そして、チャリティが20年に立ち上げた企業が「パブリック・ヘルス・カンパニー」だ。もちろん「国を救う」だけではビジネスにはならない。よって自社の役割として「感染症を予防し、各企業がサプライチェーンを確保するためのツールをつくる」と掲げている。

 具体的には個別の法人や自治体向けに、それぞれの顧客にカスタマイズされた感染症拡大予測の提供や、予防策の提示などを行う。21年4月には医療系ベンチャーキャピタルのベンロックなどから800万ドルの出資を得た(i)

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