台風が来れば“お得意様”の身を案じ、「まんじゅうが食べたい」となればすぐさま持参。百貨店の外商担当者にはそういう逸話が多い。顧客に尽くすポイントと対価の受け取りポイントがズレることに抵抗感がないのだ。ただし、これは富裕層だけの話ではない。今後は一般庶民にも長期的・継続的な関係構築の動きは出てくるだろう。

 富裕層を相手に商売している人の仕事には共通点がある。売り上げに直接つながるようには見えないところでしっかりと人間関係を作って、要所要所でしっかりと課金する。顧客に尽くすポイントと対価の受け取りポイントがズレることに対して抵抗感がないのだ。もしかしたら不安はあるかもしれないが、それに耐える胆力があり、顧客に対してその不安は見せない。

 例えば百貨店の外商担当者にはそういう逸話が多い(i)。台風が来ていると聞けば、その進路にあたるエリアの顧客に「大丈夫ですか?」と電話する。テレビでパリの特集を放送していれば、フランス旅行に行く予定がある顧客にすぐに伝える。「万年筆のインクが切れちゃったから持ってきてくれる?」と言われると、大急ぎで持参する。

 その時は「おお、ありがとう。助かったよ」とか「わざわざすまないね」の一言で済んでしまう。1000円程度のインクをわざわざ持参する手間の元は取れない。だがある日、思い出したかのように「あの時はお世話になったしな」と数百万円の時計を買ってくれる。

 筆者の聞いた話では、「旅先で食べたまんじゅうをまた食べたい」という要望に応えた外商担当が、「ありがとう、まさにこれ。そういえばこの辺がちょっと寂しいから、いい感じの絵を一枚お願い」と言われ、高級絵画を買ってくれたケースもある。

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