B2Bのキーワードとしてスタートした「カスタマーサクセス」が、今やB2C領域でも使われるようになってきた。直感的に意味が伝わりにくいこの言葉を直訳すると「顧客の成功」だが、どうもしっくりこない。言うなれば、顧客に「いい買い物したなあ」と思わせることではないだろうか。事例を交えて「その心」を解く。

 「カスタマーサクセス」という言葉をよく聞くようになった。これは、B2B向けのSaaS(Software as a Service)を中心に発達した考え方だが、B2C領域の関心も引き寄せている。この3月にカスタマーサクセスに関する講演に登壇したところ、食品、産業機器、インフラ、素材メーカーなど、さまざまな業界・業種の人が参加されていた。

 カスタマーサクセスに確たる定義はないが、つまるところ「買った後」に関する施策のうち、事業者側から能動的に行われる施策であると理解している。似て非なるカスタマー“サポート”は「トラブルが生じたときに連絡が入り、それに対処する」といったように受動的な取り組みだ。

 事業者側から言えば、「買ってもらったら終わり」ではなくて、「買ってもらった以上、うちの商品・サービスを使い倒して、最高によい思いをしてもらいたい」という考え方と説明できる。「カスタマーのサクセス」という言葉にそのような意味が込められているのだろう。

 ただ、どうもカタカナで話をしていると、分かった気がすると同時にいかがわしさが否めない。「ビッグデータ」や「プレミアムフライデー」に似たようないかがわしさがつきまとう。カスタマーサクセスを日本語で表すならば、どのような言葉が一番ふさわしいか。

 それは、「いい買い物したなあ」だと考える。