まるでヒゲでもそるかのように、3メートルの雑木や生い茂った雑草をバリバリと刈っていく、ドキュメンタリータッチの動画がある。企業が商売相手のB2Bメーカーは合理性を追求しがちだが、B2Cと同様に情緒的な訴求も必要だ。それを指し示す、横河電機のブランディングの取り組みを改めて見てみよう。
岡山市にあるタグチ工業が提供する「クサカルゴン」は建設機械用のアタッチメントであり、ショベルカーの先端につける巨大な草刈り機だ。幅2.4メートルの機体に備えられた48枚の歯が高速で回転し、雑草をバリバリと刈り取っていく(i)。雑草といっても、素人目には樹木にしか見えないような雑木や細い竹も容赦なく刈り取る。
その様子をドキュメンタリー調に紹介しているのが“KUSACARGON THE MOVIE”だ(ii)。3000坪の敷地を埋め尽くす雑草を、たった1人の作業員がクサカルゴンを用いて刈っていくさまが描かれている。3メートルを超す雑木を、クサカルゴンがバリバリと刈り取っていくさまは圧巻だ。YouTubeで公開されている。
実際のところは、草刈りの対象となった敷地は新工場の設立予定地。草刈りついでに自社製品の機能性を表現したい、というもくろみだったという。YouTubeのほか、中国・四国と山陰エリアのテレビCMとしても放映され、実際に製品の比較検討や取引のアシストにつながっている(iii)。
クサカルゴンの取り組みは、B2Bブランディングの一種だ。B2Bでの取引は合理性一辺倒になると考えがちだが、B2Cと同様に情緒的な訴求も必要であるとする論考は多くみられる。
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