ネット通販の普及に伴って増えるのが「返品」だ。小売業界にとって、その負のインパクトは無視できないレベルになりつつある。返品された商品を再び商流に乗せる「リバースサプライチェーン」を主戦場とする米オトプロは、デジタルを駆使して回収金額の向上に挑む。「動脈」だけではなく、「静脈」に注目すると思わぬビジネスのヒントがあるかもしれない。
米国は返品大国だ。商品のカテゴリーによって、返品率には大きな幅があるが、一般的にオンラインで販売されたすべての商品の10~15%。アパレルなど一部のカテゴリーでは30%を超えるという推計もある(i)。実店舗への返品率は少し低く7%前後と推計されている。
例えば、米国郵政公社は2013年、クリスマス後の2週間で3200万件の返品を処理した(ii)。クリスマスシーズンに販売されたうち、2割以上に当たる約600億ドル(約7兆2000億円)相当が返品された。家電販売チェーンのベストバイでは、返品や交換、故障品は収益の約1割に当たり、年間費用は4億ドルに上る。コロラド州立大学のザック・ロジャース教授によると、返品と過剰在庫品の両方を含むポストリテールの規模は16年には5540億ドル。年率約7.5%で成長している(iii)。
では、これらの返品された商品はどうなるのだろうか。それぞれの商品は再販売の可否を判断したうえで、再び新品として販売されることもあれば、返品内容の確認を行うことなく、処分されることもある。物流会社の返品センターに集められ、まとまった量が大幅な値引き価格で業者に販売されるのだ。小売業者からの仕分けされていない返品商品は通常、小売価格の10~20%で売却されるという。
このような返品商品の処分業務は、米国では「リバースサプライチェーン」や「REコマース」などと呼ばれ、多くの専門業者が登場している。オンライン在庫処分業者としては、企業間サービスを手がけるBストック、リクイディティ・サービシズ、リクイデーション・ドット・コム、などがある。また、フェデックスは14年12月に返品物流大手GENCOを買収。GENCOは、年間6億件以上の返品を扱っている。
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