「草ぼうぼうの荒れた公園がコストをかけずに整備される」「商品価値のない割れたアメがどんどん売れる」。需給双方がハッピーになれるマッチングは、アイデアひとつでつくり出すことができる。そんな文脈設計の好例が、上野動物園の取り組みだ。まずは「やぎのうんこモデル」から紹介しよう。

 商品やサービスの提供者と顧客を結びつけるマッチングで、筆者が「やぎのうんこモデル」と呼ぶものがある。もともとは動物園の取り組みに端を発したものであるが、海外の秀逸な事例と合わせて紹介しよう。

 うんこモデルの由来となった事例が、上野動物園のものだ。2010年にスタートした試みで、正式名称は「ヤギとヒツジのうんちそうじコーナー」(i)。園がホウキとチリトリを用意し「ヤギのウンチ掃除、きみも飼育係になれる」という看板を出したところ、順番待ちができるほどの人気コーナーになったという。

 この企画が始まるときのお知らせは、長く引き継がれてきた園としての社会的役割と、企画の趣旨がガッチリと説明されておりカッコいい。引用しよう。

 上野動物園が開園して5年後の1887年に定められた「動物園畜養人及ヒ園丁心得」は、全二十一条の半数以上が掃除に関する条文です。動物を飼うときの大切な作業である掃除を子どもたちに体験してもらうために、子ども動物園では「ヤギのウンチ掃除、きみも飼育係になれる」という催しを始めました。ほかの動物園での催し物を参考にした新企画です。

 楽しみながら動物の生態の理解を目指すという目的が伝わってくる。

やぎのうんこ掃除は飼育係にとってはルーティンだが、子供たちにとっては貴重な体験になる(写真はイメージ。画像提供/Shutterstock)
やぎのうんこ掃除は飼育係にとってはルーティンだが、子供たちにとっては貴重な体験になる(写真はイメージ。画像提供/Shutterstock)
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