禁煙を促すための切り札として、世界保健機関(WHO)が採用したのは、チャットボットAIのフローレンス。まるで人間と話しているかのように禁煙までの道筋をアシストしてくれる。新型コロナによってコミュニケーションのオンライン化が急速に進んだ今、気づかない間にテレカンにAIが参加してファシリテートしている……そんな時代も近いのかもしれない。

 世界保健機関(WHO)がこのほど、禁煙キャンペーンに新しいスタッフを投入した(i)。彼女の名前はフローレンス。WHOにとって初めてのデジタルヘルスワーカーとなる。フローレンスの役割は世界13億人の喫煙者に対して禁煙を促すことだ。喫煙者は新型コロナウイルスに罹患(りかん)した際に重症化しやすい可能性が指摘されており、感染症対策も兼ねて投入された。

 通常であれば人間のスタッフから尋ねられるようなこと、例えば「どのくらいの頻度でたばこを吸っているのか」「いつまでにたばこをやめたいのか」や「禁煙を応援してくれる身近な人はいるのか」といったことが、フローレンスとの会話を通じて収集される。その上で禁煙に至るまでの道筋が示される。

 フローレンスとの会話は、ZoomやTeamsでお客さんと会話をするのと遜色がない。しゃべりもスムーズだし、表情やしぐさも豊かだ。無表情・無感情でずっと黙っている人間よりもよっぽど人間らしい。開発は米サンフランシスコとニュージーランドのオークランドを拠点とするソウルマシーンズが、アマゾン・ウェブ・サービスとグーグルクラウドの協力のもと行った。

優しいほほ笑みを浮かべながら会話するフローレンス(出所/WHO)
優しいほほ笑みを浮かべながら会話するフローレンス(出所/WHO)

 ソウルマシーンズは「デジタル・ピープル・カンパニー」を標榜する新進気鋭のスタートアップだ。映画「アバター」や「スパイダーマン」の特殊効果でアカデミー科学工学賞を受賞した研究者マーク・サーガルCEOが率いている(ii)。フローレンスの事例で紹介したとおり、親しみのあるコミュニケーションの実現が目的だ。

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