人類が営みを続ける限り、決してなくすことのできない清掃という面倒な作業。一見単純作業に見えるが、いつどのぐらいの汚れやゴミが発生するか分からず、意外に効率化が難しい。ハイテクゴミ箱やオフィス用清掃ロボットなど、ITの活用で非効率を解消する動きが進んでいる。

 少し前の話となるが、横浜DeNAベイスターズが球場のトイレを改修したことが話題となった。女性ファンが球場に来やすくするためにはまずトイレの数を増やす。さらにそれを清潔に保つことが、来場への障壁を下げるという考えだ。結果、来場者数は増え、他球団も同様の取り組みを進めた。球場に限らず、清掃の大切さはしばしば話題になる。東京ディズニーランドや東海道新幹線の清掃に関する逸話はよく知られている。

ITでいかに清掃の効率を上げ、高度化していくのかは永遠のテーマだ
ITでいかに清掃の効率を上げ、高度化していくのかは永遠のテーマだ

 一方で、清掃は労働集約的な業務であり金がかかる上に、いつどのくらいの汚れが発生するか分からないため、業務の非効率も発生しやすい。ITを活用して、そのような非合理を解決しようとする取り組みもある。例えば、ハイテクゴミ箱の「BigBelly Solar(ビッグベリー・ソーラー)」は象徴的な事例だ。

IoTを駆使したゴミ箱「ビッグベリー・ソーラー」は世界各地に設置されている
IoTを駆使したゴミ箱「ビッグベリー・ソーラー」は世界各地に設置されている

 ビッグベリー・ソーラーはセンサーと通信機能を備えており、現在どの程度のごみが収容されているかをリアルタイムで捕捉する(i)。その上で敷地内にある複数のゴミ箱の状況を踏まえ、最適なゴミ回収を促し、ゴミ収集に伴う費用を削減する。最適な回収とは、ゴミが程よくたまっているゴミ箱だけを最短のルートで回収に行くことだ。それにより美観を損ねることなく、無駄足を踏むこともなくなる。導入事例の中には、運営コストの85%が削減できたものもあるという。

 清掃の無人化・機械化も進みつつある。家庭では、すでにルンバのようなお掃除ロボットが活用されているが、業務用掃除ロボットもさまざまな事業者が開発・導入を進めている。

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