キャストはもちろん、監督、カメラマン、大道具と大勢のスタッフが集結する撮影現場。これまで人力でのスケジューリングに頼ってきた業界に風穴を開けるべく、ネットフリックスが独自にツールを開発した。「Prodicle(プロディクル)」は何がすごいのか。実はあらゆる業界で働く人へのヒントも隠されている。

オリジナルコンテンツの制作に注力するネットフリックスが、独自にソフトウエアを開発(画像提供:StreetVJ / Shutterstock.com)
オリジナルコンテンツの制作に注力するネットフリックスが、独自にソフトウエアを開発(画像提供:StreetVJ / Shutterstock.com)

 ネットフリックスが開発したProdicle(プロディクル)というツールをご存じだろうか。これはコンテンツの自主制作に力を入れるネットフリックスが、その制作工程を支援するために開発したツールだ。

プロディクルはApp Storeなどでダウンロードも可能だ
プロディクルはApp Storeなどでダウンロードも可能だ

 そもそも大規模な映像制作はどのように行われているのか。撮影は脚本をもとに行われるため、あるシーンにおける出演人物や小道具を脚本から抽出。スケジュールの調整や小道具の手配を行う。脚本に修正があればそれに合わせた調整がつど必要であるし、屋外での撮影が天候の都合で変更になれば、それに伴う変更を関係者に伝えなければならない。

 これまでは脚本からスケジュールへの落とし込みはスタッフが毎回手作業で行っていたし、予定変更に伴う伝達もまだまだファクスで行われることが多いという(i)。映画やドラマの撮影に参加する関係者の数はとんでもなく多い。また、小道具1つ足りなくてもそのシーンが成立しなくなる。それを人力で管理してきたのである。

 プロディクルはこのような紙と人力に依存した業界慣習を変え、大規模な制作を効率化しようとしている。提供する機能の1つが、脚本から撮影に必要な情報を抽出することだ(ii)。例えば、「ワイルダーは、大きな会議机のそばに立っている。彼女の後ろにはハリウッドを一望する大きなガラス窓があった」という記述が脚本にあれば、そこから撮影に向けて必要な役者、小道具、大道具、ロケーションなどの情報を読みとかなければならない。

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