画像や動画の加工や配信は、今のマーケティングには欠かせない作業だが、これを一手に引き受けてくれるツールがある。エンジニアにはよく知られた「クラウディナリー」は、大手メディアやECサイトなど御用達のサービス。人工知能(AI)を使った画像処理サービスなども提供していてとても便利だ。
クラウディナリー(Cloudinary)というツールをご存じだろうか。画像・映像の加工・配信を一元管理するためのサービスだ。画像・映像の利用が多い大手のメディアやECサイト、ゲーム作成に携わる事業者を主要顧客としている。エンジニアの人には割とよく知られたツールだが、マーケターにはあまり知られていないので紹介したい。
クラウディナリー社は2011年にイスラエルで設立された(i)。その背景としてあったのが、まずマーケティング領域における画像・動画活用の重要性が高まっていた点。加えて、ユーザー側における端末環境の多様化があった。さまざまなタイプのスマホ、タブレット、パソコンに対して適切にコンテンツ配信を行うことは容易ではない。ユーザーに意図が伝わりやすいように、大量のコンテンツ加工はもちろん、表示されるまでのロード時間の短縮と画像の見た目の両立を図らなければならない。「配信最適化」と「画像加工の自動化」、クラウディナリーはその両方を支援する。
まず配信最適化を見てみよう。例えば、同じ内容のコンテンツであっても、ハイスペックの端末に低解像度の画像を送れば、目の肥えたユーザーには安っぽく見える。またその逆であれば、ロースペックの端末に、無駄に大量のデータが送信されることとなり、描画されるまでのロード時間が長くなってしまう。
これらの課題を踏まえ、クラウディナリーはマルチメディアデータのリアルタイム加工と、ユーザー環境に合わせた配信最適化を行う。ユーザーの端末に描画されるまでのロード時間をできるだけ短くすることが目的だ。そのためにはコンテンツの種類・重要性やユーザーの端末環境を踏まえて、マルチメディアデータを適切なフォーマットに変換したり、圧縮率を調整したりする必要がある。
例えば、同じ画像を送るにしても、利用ブラウザーがChromeであればWebPフォーマットがよいし、EdgeであればJPEG-XRの方が高速に描画されるため、それぞれの閲覧環境を踏まえて出し分ける。画質と圧縮率は常にトレードオフの関係にあるが、コンテンツ提供者がそれぞれの画像の重要性について4段階で評価しておくと、それに応じた圧縮率を採用してデータを配信する。また、Akamai、Fastly、CloudFrontといった主要CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)を用い、その時々で最適のCDNから遅滞なくコンテンツが配信される。
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