商売の基本は、「安く買って高く売る」ことに尽きる。売り手と買い手の間にある価値のギャップが、大きければ大きいほどもうかるからだ。みんな目を皿のようにして、このギャップを探しているが、そう簡単には見つからない。ただ最近は、新しいテクノロジーの登場によって新たなギャップを作り出しやすくなっている。

新たな商機を生むギャップはどうすれば見つかるのか。今回は電柱広告を例に考えてみたい(写真/Shutterstock)
新たな商機を生むギャップはどうすれば見つかるのか。今回は電柱広告を例に考えてみたい(写真/Shutterstock)

 パナソニックと東電タウンプランニング(東京・港、東京電力パワーグリッドの子会社)が進めている実験は、新たなギャップを生み出そうとしている一例だろう。大げさに言えば、「電柱広告のデジタル変革」に取り組んでいる(i)。そもそも電柱広告は120年の歴史があり、近隣の商業施設への道案内目的などでよく使われている(ii)。「コインパーキングは、この先右折150メートル」などと書かれた広告が電柱に巻きつけられている様子を、一度は目にしたことがあるだろう。

 パナソニックなどが進める新しい電柱広告は、コインパーキングが今満車なのか空きがあるのかまで分かるところが新しい。コインパーキングの利用状況に応じて、看板上の「満」「空」情報がダイナミックに切り替わるのだ。

パナソニックと東電タウンプランニングが取り組む「電柱広告のデジタル変革」(写真と図/東電タウンプランニング)
パナソニックと東電タウンプランニングが取り組む「電柱広告のデジタル変革」(写真と図/東電タウンプランニング)

 使う技術は、電子ペーパーとLPWA(Low Power Wide Area=低消費電力で遠距離通信を可能にする通信方式)だ。LPWAはその名のごとく、低い消費電力で最大50キロメートルと長距離の無線通信ができる技術。ただし最大伝送速度は毎秒100ビット程度と遅い。1秒間に送ることができるデータも10文字程度にすぎない。

 ただし、駐車場が「満」か「空」かの表示を切り替える信号を送るくらいであれば、実用上問題ない。長距離を一つの基地局でカバーできるので、コストも安くつく。センサー群からデータを収集するなど、簡単な制御を必要とするIoT(インターネット・オブ・シングズ)機器との相性はとても良い技術なのである。

 デジタル電柱広告は、見栄えが派手なデジタルサイネージに比べれば地味であるが、適切な情報を間尺にあったツールで実現する見事なソリューションだ。

知られざる電柱広告の業界構造とは

 サービスは魅⼒的だが、こうした⾯⽩い⾰新を受け⼊れる⼟壌が果たして市場にあるのか、電柱広告市場の現状を見て考えてみたい。

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