顧客と事業者の関係が長期・継続的になり、事業者が「正直」であることへの要請が高まっている。この傾向の背景にあるのは、テクノロジーの活用による新しい機能やビジネスモデルの登場だ。今回は、サブスクリプションモデル(サブスク)におけるサービス提供形態や課金形態が増えることで生じる変化を整理したい。

(写真/Shutterstock)
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 “サブスクリプション”という呼び名が「定期購読」に由来しているように、お金を払うと一旦決めれば、それに付随するサービスは自動的ないし継続的に提供される。そのため消費者は、毎回毎回「お金を払ってまでその製品・サービスを受け取る必要があるか?」という悩ましい意思決定をしなくて済む。

 このことはアン・H・ジャンザー氏による著書『サブスクリプション・マーケティング』の中で、「支払いという苦痛を体験してしまえば、あとは手にしたものを存分に楽しむことも認知科学でわかっている」と整理されている(i)。

 当然、事業者の戦い方も変わる。これまでは、同一カテゴリーの他社商品と日々比較される中で、どのように選ばれ続けるかというところに注力してきただろう。しかし契約形態が変われば、今契約してくれている顧客のために、来月の契約を切られないようにすべくサービス品質を上げることに専念すればよくなる。

ネットフリックスの戦略に学べ

 動画サブスクリプションの雄、米ネットフリックス(Netflix)の戦い方は分かりやすい。月々の定額を払ってくれる顧客にとって動画を楽しむ時間が最高の時間となるように、血道を上げている。そのために古くは、数多く存在する映画のうち特定のユーザーに対してどれをお薦めしたら高く評価してくれるのか、すなわち満足度が高まるのかを予測することに注力してきた。

 さらに最近は、過去に本連載で紹介したように、お薦めの仕方についてもユーザーに最も強く訴えるような構図のサムネイルを用意し始めている。例えば名作『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』なら、ロマンス好きの利用者に対して、主演のマット・デイモンとミニー・ドライヴァーが仲むつまじくしている様子を表すサムネイルでお薦めする、といった次第だ。

 そもそも、コンテンツ自体についても巨額の制作費を投入して大作を作り始めていることも、「顧客が満足し続け、解約する理由を作らない」ためだ。サブスクにおいては、今月解約する理由が無ければ来月も金を払ってくれる。

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