顧客と事業者の関係が長期かつ継続的になったことから、事業者が「正直」であることに対する要請が消費者の間で高まっている。この傾向の背景にあるのは、テクノロジーの活用による新しい機能やビジネスモデルの登場だ。今回は、IoTによって様々な製品がネットワークに接続されることで生じる変化を整理したい。

IoTによって耐久消費財の製品利用データが集められるようになると、マーケティング戦略はどう変わるのだろうか(写真/Shutterstock)
IoTによって耐久消費財の製品利用データが集められるようになると、マーケティング戦略はどう変わるのだろうか(写真/Shutterstock)

 家電や自動車などの耐久消費財がネットワークに接続されるようになると、製品利用データの収集が進む。流通におけるPOS(販売時点情報管理)データと対比するなら、ここで集められるのはPOU(Points of Usage、利用時点情報管理)データと呼ぶことができるだろう。

 これまでメーカーは、良い仕様の製品を不良なく生産して販売することが仕事であった。ただ低いコストでPOUデータを入手できるようになると、売った後の工程である利用の段階を見ざるを得なくなる。これまではマーケティングリサーチによってしか知り得なかった情報が、生データで観測できるようになるからである。

 今後事業者が収集可能なPOUデータは多岐にわたるが、ここでは2つに大別したい。

 第一は、日々の製品利用に関するPOUデータだ。その製品を用いて、利用者が課題を解決したり実際の便益を得たりしている様子を知ることができる。結果、日々の利用に関する支援もできる。

 本連載で過去に紹介した事例で言えば、適切な歯磨きを指南してくれる電動歯ブラシや、冷蔵陳列棚の冷却温度を適切にコントロールして電気代を最小化してくれる取り組みがこれに相当する。製品そのものを「下のレイヤー」、製品を利用することを「上のレイヤ-」だと捉えれば、POUは上位レイヤーに関するデータだ。よってここでは、このデータを「縦方向のPOU」と呼ぶことにする。

 第二は、製品の一生涯に関するPOUデータだ。

POUには「縦方向」と「横方向」がある

 耐久消費財は、食品や日用雑貨とは異なり、複数年利用されるのが一般的だ。日々の利用によって、修理や消耗部品の交換、中古としての転売、最終的には廃棄処理など、モノのライフイベントが発生する。これまでメーカーは、自社製品が売られた後、どのようなライフイベントをたどっているのかほとんど捕捉できていなかったが、今後は捕捉可能になる。

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