タピオカドリンクが売れに売れた2019年であった。ただ、「あんな子どもの飲み物なぞ飲むか」とブームを苦々しく見ていた「おじさん」も、実は日々のランチで気づかないうちにタピオカのお世話になっているかもしれない。というのも、お米とタピオカには、とても深い関係があるからだ。(i)

大ブームになったタピオカだが、精米工場で実は大活躍している。いったいどんな用途で使われているのだろうか(写真/Shutterstock)
大ブームになったタピオカだが、精米工場で実は大活躍している。いったいどんな用途で使われているのだろうか(写真/Shutterstock)

 タピオカとは、「キャッサバ」という芋の一種で作られたデンプンだ。タピオカドリンクに入っている粒状のものは、タピオカを丸めて乾燥させたものでタピオカパールと呼ばれる。そのまま食べる以外にも、加工食品に粘り気を出すために用いられている。

 タピオカと和食との間に、どのような関係があるのか。タピオカは、米から無洗米を製造する際に用いられる。粘性の高いタピオカは米ぬかを吸着するのだ。通常の米を研ぐプロセスでは米ぬかを水でかくはんして除去する。その工程を、無洗米の製造工場でタピオカによって代替するのだ。重要なポイントは、結果として排水が生じないことだ。研ぎ汁の後処理が不要になるわけだ。おまけに、洗米に伴ううまみの流出もない。ITとはまったく関係ない話だが、洗米という手間のかかる作業を効率的に実現しつつ、後工程が楽になる意味ではテクノロジーの意義ある活用と言えよう。

 最近耳にすることが多くなった野菜工場にも、タピオカを無洗米製造に使うのと同じことが言える。屋内の完全にコントロールされた環境で、光合成に最適となるよう調整された発光ダイオード(LED)の光で葉物野菜を製造する。結果として、野菜を安定供給しやすくなる。

 ただ無料の太陽光を利用するのではなく、電気で栽培するため、当然コストは大きくなる。では、野菜工場のメリットはどこにあるのか。それは、調理時の野菜洗浄を行う負荷が減る点だ。また、露地栽培と違って土を使わずに屋内で育てられるので、虫などの異物が混入するリスクを限りなく少なくできる。結果としてレストランなどに対して、虫などが含まれていないか確かめながら洗わなければならない不安を取り除くことができる。このような後工程が楽になるメリットを、野菜工場の運営会社は外食産業に訴求している。

ハイテクワナがもたらすジビエの新たな価値

 もう一つ、タピオカに似ている変わった事例もある。「地域創生とIoT活用」といった文脈でしばしば登場する、鳥獣被害に対する対策だ。鳥獣被害とは、野生の鳥獣によって農作物が荒らされる課題であり、その被害額は年間約200億円にのぼる(ii)。また、収穫間際の作物が失われるため、生産者に対する心理的な打撃も大きい。耕作放棄の原因にもなっている。

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