テクノロジーが成熟しても、それを自社に取り込めるかどうかは企業の姿勢による。例えば、使いやすくなった画像認識技術を業務に取り込むと工数を減らせると分かっていても、もともとの仕事をやっていた人に別の仕事を用意できないといった理由で検討が止まることがある。令和の時代でも、こんなケースがまだ生じている。

北海道など積雪地特有の融雪システムにAIを活用したある事例は、テクノロジーと企業理念をうまく調和させており、多くのことが学べる(写真/Shutterstock)
北海道など積雪地特有の融雪システムにAIを活用したある事例は、テクノロジーと企業理念をうまく調和させており、多くのことが学べる(写真/Shutterstock)

 ビッグデータやIoT(インターネット・オブ・シングズ)、AI(人工知能)といったテクノロジーを活用する目的の一つは、無駄を無くすことだ。人間の制御では実現が難しい業務や、割に合わない小ロットの業務で生じている無駄を、ソフトウエアの力を借りてリアルタイムに排除する。

 悩ましいのは、社会の無駄で飯を食っている人は山ほどいて、そういう人からするとテクノロジーで全体最適化されるのは疎ましい。また、多くの人手をかけていることが権限の源泉になっている担当者や管理者が抵抗することもある。

積雪状態をカメラで監視、AIで分析する

 しかし、中にはテクノロジーの活用と企業理念を調和させて両輪をうまく回している企業が存在する。北海道ガス(北ガス)のAI活用が一例だ。北ガスは、北海道大学調和系工学研究室川村秀憲教授との共同研究によって、融雪システムの高度化を目指している。地域の課題を解決しつつ経済的な効用にもめどをつけた事例だ(i)。

 そもそも融雪システムは、積雪地帯特有の社会インフラ。ボイラーで加熱した温水を地下に設置したパイプに巡らせて路面の雪を溶かす。建物入り口や駐車場、坂道など、積雪が邪魔または危険な場所の雪を常に除去しておくために整備する。

 温水を沸かすためにはガスや灯油といった燃料が必要であり、ボイラーをずっと稼働させるとコストがかさむ。管理者からすれば、雪が積もっているときだけボイラーを稼働させ、それ以外は停止させたい。溶かすべき積雪を確認してからボイラーを稼働させられれば、エネルギー効率は劇的に高まる。

 人間が積雪状態を遠隔カメラで確認し、手動でボイラー制御を行うサービスが既に存在するが、燃料費を平均42%削減できるそうだ。

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