国土交通省がまとめた「国土のグランドデザイン2050」の中に、面白い分析がある。「サービス施設の立地する確率が50%および80%となる自治体の人口規模(三大都市圏を除く)」というものだ。これは、自治体の規模によってどのようなサービス施設が存在し得るのかということを分析している。
例えば「スターバックスコーヒー」は、人口27万5000人を超える自治体であれば存在確率が80%となるが、17万5000人規模の自治体だと存在確率が50%になるという整理だ。「存在確率80%」というのは、「◯◯人くらいの人口規模の自治体であれば採算が取れるので、10のうち8の自治体で当たり前のようにその施設がある状態」ということだ。
存在確率80%を基準に見ると、郵便局は500人、銀行は9500人、博物館・美術館は8万7500人となっている。百貨店と救急救命センターは27万5000人と、規模の大きい自治体でなければなかなか保有できないぜいたくなサービス施設であることが分かる。
東名阪を除けば、人口が30万人を超える都市圏は2010年には61であったが、2050年には43まで減少すると予測されている。これは、上のようなぜいたくなサービス施設を保有することが困難になりつつあることを意味している。
どうする、高齢者の「買い物難民」問題
分析の背景には地方を中心とした人口減少がある。人口が減れば需要が減るため、サービス施設を維持できない。サービス施設がなければ不便なので、人口の流出が進む。人口がさらに減れば、ますます維持できるサービス施設の種類が減少するという悪循環に陥る。
このような課題が顕著に表れている一例が、地方における「買い物難民」の問題だ。地方都市に大規模量販店が出店し、駅の近くの商店街が店を閉じたり、ロードサイドに移転したりする。しかしその後、大規模量販店が撤退してしまうと、歩いて行ける距離で日々の買い物ができなくなる。
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