行動変容の中で、特に価値が高いものの同時に難易度が高い取り組みは、消費者を「初めての体験に一歩踏み出させること」だろう。これは競合から客を奪うのではなく、新しい客を呼び込み、その市場自体を拡大させる点で価値が高い。

自社製品を味わったことがない消費者を、ガムメーカーはどう行動変容させたのか(写真/Shutterstock)
自社製品を味わったことがない消費者を、ガムメーカーはどう行動変容させたのか(写真/Shutterstock)

 「ここまでやるか」と、驚かされる行動変容の事例がある。ミントガムを販売する独リグレーの事例だ。リグレーは自社の製品を味わったことがない顧客に対してどのように訴求したら良いか苦心していた。彼らが目をつけたのは、駐車場である。

 利用者が駐車スペースに到着してバックで入庫させる際、駐車場の入り口で発券された駐車券を手に持っているとじゃまになる。しまい込んでしまうと店内に持っていくのを忘れてしまうので、多くの人が一時的に駐車券を口にくわえる。

 リグレーの取り組みは、駐車券をくわえると口の中に爽やかなミントの風味ただようというものだ。券面をよく見ると、裏に「驚くほど爽やかな味。リグレー社のミントガム」と書かれている。利用者が口にくわえることを見越して、製品と同じ味のミントを駐車券に塗布していたのである。