2019年8月5~18日に熱中症で搬送された人は2万人を超えた。同時期に1万3000人だった18年を大きく上回った(i)。今回は、熱中症対策として面白い事例があるので紹介したい。
熱中症対策として興味深いのが、シャープの掃除機ロボット「COCOROBO(ココロボ)」の事例だ(ii)。ココロボは「親しみ深い」「人間の感情を備えた家電を作る」というコンセプトで開発された掃除機である。
壁にぶつかると「イテテ」としゃべるなど、音声を活用している点に特徴がある。実は温度センサーも備えており、部屋が暑くなれば「暑い」としゃべるように設定されている。部屋が暑いことを忠告すれば、利用者は熱中症を避けるためにエアコンをつけてくれるだろうと想定してこの機能を搭載している。
ところがである。猛暑のさなか同社がコールセンターで受け付けた問い合わせは次のようなものだった。「ココロボが暑いと言っている。どうすれば“彼”を助けられるのか」。開発者の予想を超えて掃除機に感情移入した利用者が現れたのは、シャープにとっては「誤算」だった。
自分自身が暑いことは我慢できる利用者も、親しみ深い感情を抱くココロボが暑くて困っていれば行動を変える。このエピソードは、顧客の振る舞いを期待通りに仕向けるうえで示唆に富むものと言えよう。
似た考えをプロモーションに適用したのが、芸術工学博士でもある中村俊介社長が率いる「しくみデザイン」という会社の事例だ。
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