自動車修理市場が縮小している 。背景にあるのは「衝突被害軽減ブレーキ」など、先進安全装置の普及だ。自動車の保有台数が横ばいであるなか、事故件数は2004年以降減少傾向にある。事故の減少自体は喜ばしいことであるが、修理市場は業務の効率化など生き残りのための施策が不可欠になっている。

効率化が迫られている自動車修理工場向けに、画期的な仕組みを編み出した企業がある(写真/Shutterstock)
効率化が迫られている自動車修理工場向けに、画期的な仕組みを編み出した企業がある(写真/Shutterstock)

 縮小が続く自動車修理市場(i)。効率化のために人工知能(AI)を用いたソリューションを編み出したのが、総合塗料大手の関西ペイントだ(ii)。彼らが目指すのは、自動車修理の現場における「調色時間」の短縮である。調色とは、塗料を混ぜ合わせて、修理対象の自動車に対してぴったりの色を作り出す作業である。

 カタログ上は同じ色の自動車でも、工業製品である以上、完全に同じ色味の自動車は一台としてない。また、直射日光や潮風にさらされて利用されるうちに、色は抜けていく。色の抜け方は、使われ方に応じるため、修理に持ち込まれる自動車の色は「一品物」の世界となっている。白であっても、わずかに別の色が混ぜられていることもあるという。「その型式ならばこの塗料で塗れ」というわけにはいかないのだ。

 こうしたことから修理工場では、持ち込まれた自動車の色味を解析した後、再現するべく作業員が塗料を職人技で混ぜていく。色を混ぜる試行錯誤は平均5回。その作業のためには平均48分を要するという。

AIが塗料と混合の割合を導いてくれる

 そこで関西ペイントは、調色工程における「この色を再現するためには、どの塗料と塗料をどういう割合で混ぜたらよいか」という問題を、「AI(アイ)カラーシステム」によって判断することにした。このシステムは、色を測るための「センサー」、塗料を計る「計量はかり」、走査のための「タブレット端末」で構成する。