愛知県名古屋市に、従業員一人当たりの売上高が業界平均の3倍もある自動車販売店がある。いったいどのように実現したのだろうか。それをテクノロジーによって拡大させることはできないだろうか。

富の象徴である金を使った宝飾品では、装飾やデザインで自分らしさをアピールする人は多い。その考えを車に持ち込んだ日本企業がある(写真/Shutterstock)
富の象徴である金を使った宝飾品では、装飾やデザインで自分らしさをアピールする人は多い。その考えを車に持ち込んだ日本企業がある(写真/Shutterstock)

 日本政策金融公庫総合研究所がまとめた「サービス産業の革命児たち」で、ルーフコーポレーション(名古屋)という実に興味深い自動車販売会社が紹介されている(i)。新車小売業の平均売上高は3089万円だが、同社は8850万円と実に3倍を誇る。しかも社員がたくさんの台数を売ったわけではなく、顧客1人当たりの単価が高いのだ。

 同社は、エコカー向けのカスタマイズサービスを提供している。通常、エコカーにスポーツカー向けの部品を取り付けると著しく燃費が悪くなる。そこでテストを繰り返して「エコカー向けカスタマイズ部品」を開発し、付加収入を得ているのだ。さらに、車体に対してシルバーメタル塗装や、エングレービングと呼ばれる微細な彫刻を施し、顧客にとっての「理想の一台」を実現している点に特徴がある。

 決して違法改造ではない。「ルーフコーポレーション」で画像検索して、実に多彩で高度な微細加工の事例を見てほしい。

同社のウェブサイトで微細金属加工した車体の例が見られる(提供/ルーフコーポレーション)
同社のウェブサイトで微細金属加工した車体の例が見られる(提供/ルーフコーポレーション)

 ルーフコーポレーションは、一度売った顧客の心をつかみファンとして囲い込む戦略も巧みだ。年に一度、デコレーション新車を購入したユーザーを会場に集めるファンイベントを開催。そこで自分のとは違う様々な加工をした他の車を見ることができる。その結果何が起こるかというと、違う加工を羨んだユーザーは少なからず追加のデコレーションを再依頼する。販売後の加工が多いことも、高い売上高に貢献している。惜しむらくは、完全に職人芸のカスタムであり、ビジネスとしてスケールさせにくいことだ。

高度な微細加工をどうスケールさせるか

 では、ルーフコーポレーションが顧客を魅了しているような微細加工をビジネスとしてスケールさせている業界はないのだろうか。実は、自動車業界ではないが、 宝飾品業界に面白い事例がある。トルコ宝飾品の高度な微細加工の自動化を実現するトルコBulunmazがそれだ(ii)。トルコで金のブレスレットの加工装置を開発・販売している事業者で、ブレスレットや指輪をコンピューター制御の工作機械で高速に加工する技術を得意とする。加工の様子は同社がYouTubeに投稿した動画で見られる(iii)