監視カメラ映像解析に特化したサービスを提供している米カミオ(camio)という企業をご存じだろうか。今回は同社の映像解析サービスの戦略が実に面白いので紹介したい。

監視カメラを導入したものの、日々発生する膨大なデータの処理に困る企業は多い。そこに目を付けたある米国企業のサービスは、実に気が利いている(写真/Shutterstock)
監視カメラを導入したものの、日々発生する膨大なデータの処理に困る企業は多い。そこに目を付けたある米国企業のサービスは、実に気が利いている(写真/Shutterstock)

 通常、監視カメラ映像は何か問題が生じたら内容をチェックして事後確認することになる。リアルタイムで異変をキャッチできなくもないが、そのためには監視員を常に張り付けておかねばならずコストが高くつく。

 そこでカミオは、監視員の関心を理解したうえで、該当する状況が映像に生じている場合に自動的に通知するサービスを提供している。契約すると、監視カメラ映像の中から抽出した特徴的なシーンを提示してもらえる。そこで監視員は、自身の関心に沿うものを選ぶ。これで監視員が気になる状況をカミオ側が理解し、後は緊急事態が起こった際に自動的に通知する。

 他にも、「金曜日にやってきたフェデックスのトラック」など、通知してもらいたい状況のキーワードを入力すると、該当するシーンを抽出してくれる。世の中にはさまざまな映像解析のニーズがあるが、膨大なデータが発生しその処理に困る企業が多い監視カメラ映像の分野で特徴あるサービスを提供していると言えよう。

 サービス内容も面白いが、同社の課金の方針も興味深い。カミオはサービスのレベルを4段階に分けている。各段階で提供する機能と、そこから透けて見える同社の意図を推察してみたい。

車・人を検知、次に車種・ナンバーまで特定

 まずレベル1。提供するのは無制限のストレージ容量や、映像記録に対する改ざん防止機能である。監視カメラの映像はデータサイズが大きく管理が大変である。かといって、問題が起こった時間帯の映像が容量不足で削除されてしまい、後で振り返れなければ困ったことになる。無制限のストレージ容量と改ざん防止によって、安全かつ大量にデータを預かることをアピールするのがレベル1である。

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