「シートロエン」(SEETROËN)という商品をご存じだろうか。自動車メーカーのシトロエン(Citroën)が販売する眼鏡だ(i)。なぜ自動車メーカーが眼鏡を発売したのだろうか。今回は、その理由を考える。

自動車メーカーのシトロエンが、実は独自のメガネを開発したことは余り知られていない。その秘密を探ってみると…(写真/Shutterstock)
自動車メーカーのシトロエンが、実は独自のメガネを開発したことは余り知られていない。その秘密を探ってみると…(写真/Shutterstock)

 シートロエンは、車酔いを解消できる眼鏡である。価格は99ユーロ(約1万2000円)。車中で本を読んだり、スマートフォンを操作したりして、気持ち悪くなってしまったらこのメガネをかける。すると10分程度で酔いが解消されるという。どういう仕組みなのか。

 眼鏡といっても、シートロエンにはレンズがない。フレーム内部に着色した液体が封入されている。これが顔の正面と左右で揺れることで車酔いの症状が抑えられるのだ(ii)。乗り物酔いは、平衡感覚や視線の方向が狂うと生じる。そこで船乗りの間では、船酔いを抑えるためには遠くの水平線を見ることが有効だとされている。シートロエンは、水平線をメガネのフレーム上で再現したわけだ。 2018年7月に欧州で発売されて以来、1万5000個以上が売れている。

シトロエン(Citroën)が開発した「シートロエン」(SEETROËN)はかけると車酔いを解消できる
シトロエン(Citroën)が開発した「シートロエン」(SEETROËN)はかけると車酔いを解消できる

 喜ばしいことに、日本でも5月28日に販売開始になった。当日の朝、早速シトロエンのディーラーに赴き、「酔わないメガネは入荷したか」尋ねたところ、国内では諸法令の関係上「酔わないメガネ」とは言えず「リラグゼーションメガネ」に位置づけたという。たしかに同封の説明書にも「本製品は医療器具および視力矯正要メガネではありません」と示されている。国内販売価格は1万6200円(税込み)。あいにく筆者は乗り物酔いしにくいため、リラグゼーション効果が本当にあるかまだ確認できていない。

 これに似た事例が、ANAホールディングスが提供する「乗ると元気になるヒコーキ」プロジェクトだ(iii)。元社長である大橋洋治氏の発案で始まったこのプロジェクトは、乗客が飛行機に搭乗した後に疲れを感じずに最大のパフォーマンスを発揮できる狙いで、さまざまなサービスを提供している。

 第1弾が「時差ボケ調整アプリ」だ。飛行機の利用に伴って生じる疲労の原因である時差ボケを調整するために、アドバイスを得られる。「必要な光の浴び方」「食事の取り方」「睡眠・仮眠の取り方」「体の動かし方」などについて、出国前や機内、帰国後のそれぞれのタイミングで示してもらえる。同社で破壊的イノベーションを担当するデジタル・デザイン・ラボの担当だという(iv)

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