技術の進歩によって、今まで無理だったものが手軽に正確に測れるようになっている。例えば介護領域では、排尿タイミング予測を目的に、ぼうこう内の尿量を測定するセンサーが商品化されている。今回は、データの「見える化」が生みだす消費者との新たな接点作りについて考えてみたい。

(写真/Shutterstock)
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 ぼうこう内の尿量を測定可能になったのは、トリプル・ダブリュー・ジャパン(東京・千代田)が開発する「ディーフリー」という機器のおかげだ(i)。小型の超音波センサーを用いることで、ぼうこう内にどれだけの尿がたまっているのかを測定する。

 尿意が分からなくなってしまう高齢者がいる。ディーフリーを用いた結果、1日20回の排尿を4回に減らせた例があるという。中には、おむつを外して過ごせるようになった人もいるそうだ。

 嚥下(えんげ)の力を測定するソリューションも登場している(ii)。嚥下とは「ごくりと飲み下す」という人間が持つ機能のこと。年を重ねるごとに嚥下機能は低下していき、食事を飲み込んだ際に口に残った一部が気管に入り込みやすくなる。その結果、誤嚥性(ごえん)肺炎を引き起こしてしまう。嚥下機能が低下すると、誤嚥性肺炎のリスクは約3.6倍に上がるという。

 筑波大学発のスタートアップ企業であるPLIMES(茨城県つくば市)は、この嚥下能力の測定を行う技術を持っている。首に装着したセンサーが嚥下する際の音を測定し、正しく飲み込めたかどうか、嚥下能力が正常かどうかを解析する。

 飲み込む力が弱くなっても、誤嚥を引き起こさないようにする実用的な手法がある。適切な姿勢で飲み込むのだ。姿勢指導が必要と示す上でも、まず本人の嚥下能力測定が大切になってくる。

 紹介した2つのソリューションは、高齢化に加え人手不足に悩む介護現場での業務効率化が期待できる。単にデータを「見える化」するのにとどまらず、トイレに⾏くタイミングを提⾔したり、誤嚥を防ぐ姿勢を指導したりといった施策にまで直結している点が素晴らしい。

 ウエアラブル型の測定技術ではないが、ライオンが医療機関やドラッグストア向けに提供している「サリバリーマルチテスト(SMT)」も興味深い取り組みだ。唾液を使って歯や歯ぐきの健康、口内の清潔さを簡単に検査できるサービスだ(iii)

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