業務時間中に実際に何をしていたのかは、スケジュール帳に書かれている内容だけでは分からない。正確に把握しようとすれば「どのようなソフトで何という名前のファイルの編集をしていたのか」「誰から電話がかかってきて、どのくらいの時間を取られていたのか」といった情報が必要になる。

「分計」の概念を使って、業務時間中に何をどれぐらい行っているのか細かく情報が得られれば、さまざまな可能性が生まれる(写真/Shutterstock)
「分計」の概念を使って、業務時間中に何をどれぐらい行っているのか細かく情報が得られれば、さまざまな可能性が生まれる(写真/Shutterstock)

 業務時間中に実際に何をしていたかの情報を自動収集できれば、各業務に要している時間が計算可能となる。人件費の単価との掛け合わせによって、それぞれでコストがどの程度かかっているのかも明らかになる。

 幸い、そのための支援ツールがある。提供する1社が、ノルウェーのスタートアップ企業タイムリー(Timely)だ(i)。パソコンやスマートフォン、スマートウォッチなどに同社が提供するツールを入れれば、アプリの利用時間などをバックグラウンドで計算してくれる。

 Timelyを導入する目的は、業務時間の「分計」にある。複数の顧客を抱えるデザイナーや弁護士などが、請求金額の根拠となるデータを算出したり、プロジェクトごとにかかっている人件費を少ない手間で正確に測ったりできるとしてよく使っているようだ。自分自身が効率的な時間活用をしているかを確認するために導入している一般ユーザーも多いという。

 似たような分計を活用する事例として、米モータス(Motus)がある(ii)。モータスは、従業員がそれぞれ自家用車を業務に利用している企業が、ガソリン代の計算をどんぶり勘定でみなし算出するのではなく、詳細な実績に基づいて精算できるサービスを提供している。自動車を利用している際にスマホアプリが移動状況を追跡するのだ。顧客のうちアンケートに応じた91%がコストを削減できたとしている。

 手間のかからない実費精算と、それに伴う総コストの圧縮がMotusの一番の効用だ。ただ同社は、さらに従業員の現在位置の確認や業務移動に伴うルートの最適化、安全運転の促進といった付随機能の提供も行っている。

 モータスの試みについて、「従業員の監視ツールを提供しているのではないか」との見方があるかもしれない。ただ同社の考え方は異なり、うまく転用すれば従業員の得になる取り組みもできるはずだという。例えば、働き方改革によって在宅勤務を許容する企業が増えつつある。自宅リビングでの作業に伴う光熱費やネットワーク利用料などは、少額ゆえに従業員が負担しているのが大半だろう。分計によって、必要経費を算出することが可能になる。

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