歯磨きを“賢く”するアイデアが、続々と登場している。歯ブラシそのものを進化させるものもあれば、スマートフォンアプリを上手に活用して正しい方法に導くようなものまでさまざまである。

テクノロジーを活用して、単調になりがちな歯磨きにイノベーションを起こす動きが相次いでいる(写真/Shutterstock)
テクノロジーを活用して、単調になりがちな歯磨きにイノベーションを起こす動きが相次いでいる(写真/Shutterstock)

 米日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が提供する最新の電動歯ブラシの特徴は、正しく歯磨きができているかどうかをリアルタイムに評価・指導する点にある(i)(ii)

 この電動歯ブラシは、スマホアプリを介して歯磨きの様子を撮影。その映像と歯ブラシが内蔵するセンサーのデータを解析する。磨き残した場所や、強さ、時間などを正確に教えてくれる。「理想的な歯磨き」をリアルタイムでガイドしてくれるわけだ。

 米ビーム(beam)が提供する「ビームブラシ」も、きちんと歯磨きしているかどうかを測定するものだ(iii)。ただし改善だけが目的ではない。日々のデータを保険会社と共有し、もし歯の治療が必要になった場合、ちゃんと歯磨きしてきた人には治療費を補助して優遇する。対象は個人ではなく企業の保険組合。組合員による医療費の抑制を目的としたサービスとなっている。

 フランスのコリブリー(Kolibree)の取り組みも興味深い。センサー付き歯ブラシとスマホアプリを連動させ、「歯磨き連動ゲーム」を提供している(iv)。例えば、スマホ上に表示される宝探しのゲームでは、宝物をもれなく見つけるには、磨き残しがないように隅々まで磨く必要がある。子どもが正しい習慣を身に付けられるように促すのが狙いだ。

 サンスターの場合、歯ブラシのスマート化を実現する「ガムプレイ」という、歯ブラシ外付けの小さな機器を手掛けている。3分間磨く間、アプリ上で自分好みのニュースを読み上げてくれる「MOUTHニュース」を提供する(v)。時間を無駄にしたくない、という人向けのツールである。

 さまざまな模索が進む背景には、「歯ブラシの利用データ」を収集しやすくなったことが挙げられる。具体的には、歯ブラシのPoU(Points of Usage:製品利用)データだ(vi)(vii)。PoUデータの収集は、IoT(インターネット・オブ・シングス)が実現する基本的な機能である。

 もちろん、データがただたまるだけでは意味がない。歯ブラシのPoUデータは、「どのように磨いているのか」という情報に変換され、見える化される。紹介した4社は、「ちゃんと磨けているのか」にとどまらず、正しい方法に導く点が共通している。

 働きかけの方法はさまざまだ。あるべき姿をリアルタイムで指し示すP&G、医療費の節約につながる経済的な動機付けを行うビーム、ゲームのように楽しませるコリブリー、サンスターのように時間の有効活用につながるものもある。いずれも、行動変容のためのしかけをしている。

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