「水回りのリフォームでもするか」と思い立ったときにどうするか。一昔前ならば、カタログをいろいろと見比べ、工務店と話をしながらイメージにかなうシステムキッチンを作りあげていたものだ。

システムキッチンは一生ものの買い物。商品の選定過程は今までブラックボックスだったが……(写真/Shutterstock)
システムキッチンは一生ものの買い物。商品の選定過程は今までブラックボックスだったが……(写真/Shutterstock)
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 実家を20数年前に建て替えたとき、凝り性の私の母は水回りのリフォームのために手書きの図面を何度も何度も改訂していた。一生に一度の買い物に後悔がないようにするためだ。

 素人である母の手書きのアイデアを基に工務店が図面を起こし、メーカーへ実際の発注を行う。付き合わされた工務店はさぞかし大変だったに違いない。

 今は、こうした手間は大きく軽減されている。手間を軽減した事例の一つが、パナソニックの「アイハウズプラン」だ(i)。顧客自らがオーダーメードでさまざまな空間の設備を簡単に設計できるサービスで、システムキッチンに限っても100万点近い部材の設計データが登録されている(ii)。それらを組み合わせることによって、自分だけのシステムキッチンを設計できる。

 食洗機の色や、キャビネットの取っ手をちょっと高級感のあるものに変更するといったことまで、すべてこのツール上でできる。部材を変更すれば、総コストや使用時の消費電力などもすぐさま計算。Webブラウザーやアプリを介して利用できるため、気の済むまで検討することが可能だ。ツール上で作ったシステムキッチンは単なるイメージ図ではなく精緻な設計データに基づいた図面になるため、実際に発注でき、最短1週間で納入してもらえる。

 顧客自身が設計システムを利用できるようになる前段階として、パナソニックは約14万社の工務店に対して自社の設計システムを一部開放した。当時行われたインタビューの中でパナソニックの担当者は、「社内限定だったシステムに工務店がアクセスできるようになり、リードタイムを圧縮できた」とコメントしている(iii)

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