キヤノンUSAが2019年の年明け早々に、あるスタートアップとの提携を発表した(i)。提携先は米ブリジー(Brizi)。「グループとしての思い出」の事業の可能性を追求する企業だ。グループとしての思い出とはどういうことだろうか。
誰もがよく知っている事例がある。遊園地でジェットコースターに乗り、ひとしきり絶叫し終えて出口に向かうと、道すがら写真が売られているのを見たことがないだろうか。映っているのは、落ち行くジェットコースター上で絶叫する自分と友達だ。スマートフォンのおかげで、高品質のカメラが身近になり、写真の交換が容易になったとしても、もっともテンションが高まるあの瞬間・構図での写真は撮ることができない。
ブリジーが実現するのは、このような「みんなで過ごす最高の瞬間」を誰一人欠くことなく最高の構図で撮影し、共有することだ。
具体的には次のような流れでのサービス利用となる。
仲の良い5人組で野球の試合を見に来ているとしよう。会場で配られたパンフレットには、「観戦の思い出に記念写真はどうですか?」と記載されている。スマホで指定されたアドレスにアクセスすると、自分の席番号入力が求められる。「西側スタンドB列17番」のように入力をすると、スタジアムの天井に設置されたカメラが自分の席に照準を合わせ、その様子がスマホの画面に表示される。あとは画面上で仲間5人が収まるようにピンチイン・ピンチアウトして撮影範囲を指定すればよい。撮影ボタンをタップすれば、「3、2、1」のカウントの後、撮影される。ビールを片手におどけた野球ファン5人の姿が、フレーム付きで記録されるわけだ。
ブリジーが提供するこのサービスは、すでにさまざまなスポーツエンターテインメント施設で導入されている。大手では、米プロバスケットボールNBA、欧州のサッカークラブ、テニスのグランドスラム大会などでだ。さらに米国のワシントン記念塔のような、名所旧跡への導入も進んでいるという。
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