
明日の話題に使えるIT小話
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- 第135回
- 2022.06.17
そのNFTはいかほどか? 小5男子の「枝」に見る“価値”の本質 「価値」とは一体なんだろう。子供の頃に夢中になったガラクタも、バズワードになっている「NFT(非代替性トークン)」も、価値を共有する人がいるからこそ“価値”が生まれるのでは。“小5男子”の行動や落語「茶金」のエピソードから、価値の本質をひもといてみる。 -
- 第134回
- 2022.06.10
香りなきメタバース 「匂い」は物理空間のキラーコンテンツ? 人間の体は多様な振る舞いで情報を発信し、多様な感覚により他者の意思や感情を読み取る。視線や声色、体のちょっとした動きなどは、オンラインで再現できるようになりつつある。また、そのような技術の成熟がVR(仮想現実)を基盤としたメタバースへの関心を高めている。一方で、オンラインでは再現できない感覚の一つが「匂い」だ。匂いの再現はさまざまなチャレンジが行われているが極めて難しい。 -
- 第133回
- 2022.06.03
ハートを射抜く“握手会の女王”はメタバースでも女王になれるか コンサートや握手会、ファンイベント……。ファンとのコミュニケーションを重視するアイドル活動は、メタバース空間でどう実現されるべきか。手を握るだけで多くのファンを虜(とりこ)にし、「握手会の女王」と呼ばれる須田亜香里氏(SKE48)にさまざまな意見を聞いた。 -
- 第132回
- 2022.05.27
「恩恵を受ける人」と「対価を負担する人」に“ズレ”はあるか 19世紀半ばに進んだ工業化で、穀類を製粉する場所は家庭から工場に移った。それまでは金持ちしか得られなかった小麦からつくられた白い粉が安い値段で手に入るようになったが、家庭にいる主婦の負担は実は増加したという。「受益者」と「負担者」のバランスがいかに重要かということは、任天堂「Wii」の開発エピソードからも見えてくる。 -
- 第131回
- 2022.05.20
組織を疲弊させる“股裂き”を防ぐパーパスの重要性とは 企業にとっての「パーパス」がなぜ大切なのか。それは、パーパスがないと組織が“股裂き”の状態となり、辻つま合わせの意思決定に疲弊し、前向きな意思決定をするスピードが遅くなってしまうからだ。企業の成り立ちを踏まえて、パーパスの重要性を改めて考えたい。 -
- 第130回
- 2022.05.13
顧客の人数や獲得コストを自ら開示 不利なデータを出すワケは 米国のD2C眼鏡販売スタートアップの「ワービーパーカー」は、アクティブカスタマーの数をアニュアルリポート(年次報告書)で開示している。例えば、顧客獲得のために要した費用の詳細な内訳など、顧客基盤に関する生々しい情報は競争相手に知られたくない数値でもある。しかし、それらを社内だけの管理指標とするのではなく外部に情報開示すると、さまざまなメリットを生み出すきっかけになるかもしれない。 -
- 第129回
- 2022.04.22
データ利他主義と献血 パーソナルデータをどのように集めるか 同意なきパーソナルデータの収集と活用を禁じている欧州連合(EU)で注目されているのが、公益心に基づく自発的なデータ開示である「データ利他主義(Data Altruism)」という考え方だ。パーソナルデータをどのように集め、社会で活用していくか。献血の歴史をひもとくと、データを収集・活用しようとする企業・自治体が学ぶべきことが見えてくる。 -
- 第128回
- 2022.04.15
パーソナルデータ提供に同意しますか? 自己決定の6段階とは あなたはなぜ働くのか? 「面白いから」? あるいは「やらなければならないから」? それとも「やらないと叱られるから」? 自己決定することが高いパフォーマンスをもたらすとする「自己決定理論」。これをパーソナルデータ提供の話と絡めて考えてみるといろいろと発見がある。「高い自己決定レベルで同意をしている顧客」と「良い顧客」に関連が見つかると面白いことになりそうだ。 -
- 第127回
- 2022.04.08
プレステ5のSSD容量はなぜ少なめなのか? ドリルと穴と意思決定 セオドア・レビットが「ドリルと穴」について説いたのは半世紀以上前の1968年。現在では大量のデータにより「穴」そのものに深く関係する情報を収集できるような時代になったが、それが意思決定のプロセスに生かされているだろうか。「プレイステーション5」のスペックを決定した理由をひもとくと、さまざまなものが見えてくる。 -
- 第126回
- 2022.04.01
「気が利く」と「余計なお世話」 紙一重の差はどこから生まれる 商品やサービスの提供側が気を利かせたつもりの機能でも、場合によってはユーザーに「余計なお世話」と思われてしまうことがある。「気が利く」と「余計なお世話」のすれ違いはなぜ生じるのか。「家事」についての論考からそのヒントが見えてきそうだ。 -
- 第125回
- 2022.03.25
ブロックチェーンは蒸気機関!? 社会を革新する基盤技術の未来 産業革命の基盤となった蒸気機関のそもそもの用途は、実は炭鉱における揚水ポンプだった。それがいかにして長い時間をかけて社会全体へと波及し、革命を起こしたのか。同様に、ウェブなどに代表される現代の基盤技術が今後どのように展開して社会を変えていくかを想像してみるのもおもしろい。 -
- 第124回
- 2022.03.18
水位の上昇で保険金が下りる? 変数に基づくパラメトリック保険 「水位が○メートルになったら」「降水量が規定を下回ったら」など、さまざまな“変数”に基づいて保険金が支払われるのが「パラメトリック保険」だ。一般的な保険は、損害や被害の規模を調査するのに時間がかかる。「今すぐ資金が必要」というニーズに応えられるパラメトリック保険は自然現象以外にも広がりを見せている。 -
- 第123回
- 2022.03.11
街を走るデジタル路面電車は“地上の人工衛星”になるか 車や歩行者と一緒に街並みを走行するトラム(路面電車)が高度化しつつある。イスラエルやイタリアのトラムは、各種のセンサーやアルゴリズムを駆使し、スムーズな運行を実現。所要時間の短縮や利用者増加につなげている。センサーを搭載し、定期的に街を巡回するトラムの役割を進化させれば、様々な用途に応用できそうだ。 -
- 第122回
- 2022.02.25
キリンを飼うならメタバース 脱炭素時代の娯楽かディストピアか 「脱炭素」が叫ばれる今の時代、車や飛行機での移動や豪華で広い家などは、環境負荷の観点から“ぜいたく品”にもなりかねない。だが、バズワードとして注目される「メタバース」は、そうしたプレッシャーと無縁になれる場所でもある。バーチャル空間に作った広大な庭でキリンを飼い、膨大な電子書籍コレクションで漫画を読みふける。環境負荷が低いメタバースが、人々にとって娯楽の場となる可能性もありそうだ。 -
- 第121回
- 2022.02.18
普段使わないのなら他に融通 効率を高める「資源の動的配置」 利用が急拡大した携帯電話の電波資源は逼迫している。そこで、普段は利用していない周波数帯の電波を動的に割り振る方法が検討されている。用途を一度決めたらなかなか変えない「静的」な割り振りを時間帯やエリアによって動的に適用するという考えは、さまざまな分野で応用できそうだ。 -
- 第120回
- 2022.02.04
ピクミンブルームの課金のツボ “頑張り”の可視化が価値になる 課金するほどハマっている「ピクミンブルーム」。実際の歩数が反映される位置情報ゲームだが、自身のキャラクターを武器などで強化するための課金ではなく、これから歩く“機会”に対して金を支払うという仕組みが面白い。ゲームだけでなく、ダイエットなど、似たような発想の取り組みは色々ありそうだ。 -
- 第119回
- 2022.01.28
AIが組織から知恵を奪う? “忘却”を防ぐオープンソース的発想 組織内のリソースを「本当に大事なこと」に集中させるため、それ以外の仕事をAI(人工知能)に任せたり、外部に発注したりすることはよくある。しかし、それは人が育つ機会を奪うだけでなく、知識のブラックボックスを生み出し、いつの間にか組織から知恵を奪うことにもつながりかねない。そうした事態への対応策として参考になるのが「オープンソース」の考え方だ。 -
- 第118回
- 2022.01.21
カスタマーサクセスに通じる 医師と患者で行う「SDM」の考え方 医療における意思決定といえば「インフォームドコンセント」につきると思っていたが、「SDM(Shared Decision Making)」という考え方もあるということを知って驚いた。このSDMという考え方は、医療以外の領域についても関係しそうな話であるため紹介したい。 -
- 第117回
- 2021.11.26
リモコンは失礼? 10年越しのビッグデータ活用とその果実 データを活用した、よりよい体験とは何か。「ビッグデータ」という言葉が生まれた十数年前の当時にそうした課題に果敢に取り組んだ人たちの中には、そろそろ企業の経営の中枢に携わるような人もいるだろう。そんな今こそ、ビッグデータを活用することにより「製品の利用体験が豊かになる」という“果実”が実る時期なのかもしれない。 -
- 第116回
- 2021.11.19
レシピと献立の違いは? その答えに課題解決のヒントがある 「レシピ」は一皿の料理の作り方であり、「献立」は複数の料理の組み合わせによって成立する一回の食事のこと。つまり、レシピが「部分」で、献立が「全体」だ。部分や全体の話は料理だけでなく、商品やサービス、事業にまで広げて考えることができる。重要なのは、何をもって全体とするか。さまざまな課題に対する解決のヒントがそこに隠されていそうだ。 -
- 第115回
- 2021.11.12
タモリは「AR」? 世界の“解像度”を上げる知識やきっかけとは 知識は拡張現実、すなわちARだ。例えば、地理や地学の知識がほんの少しあるだけで、いつもの風景ががらりと違って見えてくる。世界の“解像度”を上げる知識やきっかけは、埋もれてしまっている自社の製品やサービスを生活者に発見してもらうヒントになるかもしれない。 -
- 第114回
- 2021.11.05
NECで金融一筋30年のSEがなぜ「ペット向け事業」を始めたのか ペットとLINEで会話ができる「waneco talk」。現在のNECでは珍しくB2Cを対象とした事業だ。立ち上げたのは、NECで金融業界の担当を30年間務めたシステムエンジニア(SE)。心に灯(とも)した情熱を求心力にして周囲やユーザーを巻き込み、新事業をスタートさせた苦難の道程を聞いた。 -
- 第113回
- 2021.10.29
「ブランディングのデジタル化」にも通じる“愛を育む工程”とは 金を稼ぐことに直結しないが、そうした期待の下で行われる“愛を育む工程”がある。例えば、富裕層向けの証券営業は顧客の関心を引く話題を何でも持ち込むが、金融商品の説明などは後回し。そうして深い関係を構築した上で、自社の金融商品を買ってもらう。デジタル技術を駆使すれば、それぞれの顧客に適した“愛を育む体験”を提供できるはずだ。 -
- 第112回
- 2021.10.22
新しい可能性を秘めた、自身を鼓舞する「モチベーションビデオ」 自分のチームが公式戦で得点したシーンや、頑張って練習をしてきた様子、準決勝で負けて悔しがっている様子などをつなぎ合わせて編集した「モチベーションビデオ」が面白い。無邪気に「頑張れ」と言っている企業CMなどは反感を買いやすいが、「頑張っていた自分が自身を励ます」のならば受け入れられる。新たな企業メッセージとしての可能性がここにありそうだ。 -
- 第111回
- 2021.10.15
新しい“顧客の測り方” 売り上げや利益では見えない非財務指標 売り上げや利益といった財務指標の上がった下がったは誰でも分かることだが、非財務指標を設定し、それを業務遂行の寄る辺(よるべ)とすることは一筋縄ではいかない。例えば、ナイキは顧客ロイヤルティーに関する指標として、アプリを介して収集した走行距離やトレーニングした量を採用。「スポーツに汗を流す人は、我が社と価値観を同じくするお客様ないし、お客様候補である」という姿勢が透けて見える。 -
- 第110回
- 2021.10.08
忘れられがちな「我が社のパーパス」を意識し続けるための装置 創業時に掲げた「我が社の社会的役割」を忘れることなく事業を続けることは難しい。だが、産業財団モデルを採用することで、創業時のパーパスを維持し続けることはできる。それを実現しているのが、4つの役割によってグループの統治を行っているドイツのロバート・ボッシュ社だ。 -
- 第109回
- 2021.09.24
ブロックチェーン技術で活性化する「デジタル会員権」の可能性 ブロックチェーン技術を活用した社債が20年3月に日本で初めて発行された。デジタル化により、社債の配当の自由度が向上。より柔軟な金融商品の可能性が広がった。社債の配当、高級レストランやゴルフ場の会員権など、権利のデジタル化によって、その流通基盤が大きく変化しようとしている。 -
- 第108回
- 2021.09.17
牛と金融サービス 「全個体識別」が生む新ビジネスの可能性 牛には識別番号が付与されている。2001年に大騒動となった牛海綿状脳症(BSE)をきっかけに、牛肉トレーサビリティーに対する社会的要請で牛の個体識別システムが本格稼働。個体識別番号が整備されたことによって、牛を担保とした動産担保融資(ABL)が活発化した。これは個体識別が新しいビジネスを生み出した好例と言える。 -
- 第107回
- 2021.09.10
感染予防がビジネスに? 官民の境界線崩壊で生まれる新サービス 新型コロナウイルスなどの感染予防や気象予測、宇宙産業まで、官業と民業の垣根を越え、“かゆいところに手が届くサービス”を提供する企業が次々と登場している。行政が提供、管理するデータとさまざまなシステムを連動させて生まれたソリューションがビジネスを変える。官業と民業の境が崩れるときは大きな商機でもある。 -
- 第106回
- 2021.09.03
投資の美人投票とは? 知っておくべき、応援と投票の微妙な関係 「美人投票」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。コンテストなどを指すのではなく、れっきとした経済用語だ。経済学者のケインズは投資を「多くの人が選んだ“美人”に投資したものには“商品”がもたらされるゲーム」と見立てている。“美人”が投資対象であり、“商品”が利益だ。「投票」との対比において、企業のパーパスや製品・サービスに賛同し、長期的な成長を確信して投資することは「美人応援」とも呼べよう。様々なシーンでの「応援」と「投票」について考えてみた。 -
- 第105回
- 2021.08.27
観光客激減で海がきれいに 人流と下水から見える未来の都市像 世界を代表する観光地の水質が劇的に改善している。コロナ禍で観光客が激減したためだ。人流と下水への負荷は関係するため、適切な下水道施設運営のためには人口動態データも重要になってくる。将来実現するスマートシティーでは、さまざまなデータを連係し、今までとは次元の違う“効率的な運用”が必須になるはずだ。 -
- 第104回
- 2021.08.20
AIがあれこれ指図 著者の“ゆるいサイバーパンク”な仕事を公開 コロナ禍のタイミングで立ち上げた私の会社の事務所では、アレクサがカーテンを開け、スマートウオッチが散歩を促し、ルンバが床を掃除する。『マトリックス』や『ブレードランナー』といった映画まではいかないが“ゆるいサイバーパンク”な著者の生活を紹介する。 -
- 第103回
- 2021.08.06
まず“壁”を取り払うべし デジタル化の成功は専門家連携がカギ ビルの“デジタルツイン”を活用したプラットフォーム「Neuron(ニューロン)」を開発した専門家集団「アラップ(Arup)」。複数のバックグラウンドや専門領域を持つスタッフが混在するような状況を意識的につくり出し、それぞれの領域の壁をなくしたことで、建築業界とデジタルをうまく連携させることができた。 -
- 第102回
- 2021.07.30
デジタルツインで将来を予測 「データ同化」が開く未来 気象予測のためには膨大な計算が必要だ。観測データと予測データを同化させることでより精度の高い予測を行おう、という取り組みが「データ同化」。最近よく聞く「デジタルツイン」を実現する手法の一つもデータ同化だ。 -
- 第101回
- 2021.07.16
結合させるのは「行」か「列」か 知っておきたいデータ連携の基本 一口に「データ連携」と言っても様々な方法がある。例えば、「行」のデータを結合する方法と「列」のデータを結合する方法。どちらの結合を目指すのかで、その目的や実現に際して直面する課題、難易度も大きく異なってくる。 -
- 第100回
- 2021.07.09
クラブハウスだけじゃない 職場でも起きている“耳活用”最前線 スマートフォンの画面を見ながら、指先でテキストを打ち込んでいく――。忙しい現代は“手と目の争奪戦”が生じている。それならば、“耳”で解決できる業務は耳に逃せば、作業中の手と目が邪魔されることがないのでは。そうした発想で仕事現場の業務効率化を期待できるのがBONX(東京・世田谷)の音声コミュニケーションサービス「BONX(ボンクス)」だ。 -
- 第99回
- 2021.06.25
真珠からメーター数値まで 作業を効率化できる「計数」の事例 業種業務を問わずいろいろなところに存在する「計数」、すなわち「数を数える」作業。真珠のカウントから商品の在庫、メーター数値の読み取りまで、世の中には業務を大きく効率化できる様々な計数の事例がある。 -
- 第98回
- 2021.06.18
“魔法の販売マニュアル”に学ぶ、劇的に顧客満足度を高める方法 日本車を販売する米国のディーラーに、顧客満足度を劇的に高めるマニュアルがあった。操作や使い方が分からないことで起きる「顧客の失敗」を回避し、正しい使い方を説明するマニュアルだ。この考え方を応用すれば、購入後の顧客満足度も高めることができるかもしれない。 -
- 第97回
- 2021.06.11
既存設備の底力をいかに引き出すか。重厚長大産業の大奮闘 社会全体が成熟し、新たな設備投資が難しくなっている今、既存の膨大な設備をいかに効率よく運用・管理していくか。電力業界、石油化学業界といった重厚長大産業の奮闘を紹介する。 -
- 第96回
- 2021.06.04
米データ流通企業の“錬金術” データを整理し、価値を高める 不動産業界に特化したデータ流通企業である米国のチェレは、不動産以外のデータも膨大に収集し、契約企業に提供する。一見、無価値に見える情報も、地道な整理や加工を行うことで新たな価値を生み出すことができるのだ。