テクノロジーの力で、買い物がますますワクワクする体験に──。米ニューヨークはそんなテクノロジーを活用した最先端の店舗が多数ひしめく。世界中の流通業界の関係者がニューヨークに集まるイベント「NRF 2019 RETAIL'S BIG SHOW」開催を機に、いくつかの店舗を巡って体験してみた。
米アマゾン・ドット・コムを筆頭に、オンラインビジネスが実店舗を開店し、活用する試みが話題を集めてきた。一方で、実店舗での販売を中心に業績を上げてきた店が、デジタルを活用して店舗での体験をより便利に、より楽しくしようという動きも加速している。
NRF(全米小売業協会)が2019年1月に開催したイベント、NRF 2019 RETAIL'S BIG SHOWで、特に人気を博していたのが「Store tour:Best technology integrated stores in NYC」セッション。デジタルを使って買い物体験を“ワクワク”させるニューヨーク市内の最新事例を紹介するものだ。座席が足りず、床に座って聞く人も多数見られた。
アパレル、飲食店、スーパーマーケット、寝具店などさまざまなジャンル20店舗の情報が載った地図が配られ、その中から特に注目すべき実店舗の事例が紹介された。また、NRFの参加者用に、実際にこれらの店舗をガイドと一緒に回る「ストアツアー」も開催された。
このストアセッションで紹介されていた店舗から、実際に訪問してみて、「便利だ」「面白い!」といった感動があったお店を3つ紹介したい。
自分専用クローゼットが試着室に出現!?
まず訪れたのが、アパレルショップ「Reformation」だ。ノーホー(NoHo)地区と呼ばれるアパレルショップやカフェが立ち並ぶおしゃれなエリアにある。
この店舗でテクノロジーを活用して届けるワクワクは、「試着体験」だろう。まず、店内に入るとずらっとハンガーに掛かった洋服が並び、壁にはいくつかのディスプレーが掛けられている。店頭にある洋服は、実は各デザインに対して1色、1サイズしか並べられていない。気に入った洋服を見つけて、他の色やサイズを試着したいと思ったら、壁に掛かっているディスプレーを利用する。試着してみたい商品をタップ、サイズと色を選んで自分の名前を入力すると、そのリクエストが店舗のバックルームに伝えられる。
準備できると名前が呼ばれるので、試着室へ。中に入ると、奥にクローゼットのようなものがある。その扉を開けると自分が先ほどリクエストした商品が、まるで自分専用のクローゼットかのように収納されているのだ。
実際に試着してみて、他のサイズや商品も試してみたいと思ったら、試着室内に設置されているiPadからリクエストを送るだけ。クローゼットの扉を一度閉めて、少し待って扉を開けると、中に新たな商品が用意されている。
試着室自体にもワクワクできるような仕掛けがある。自分の音楽プレーヤーから試着室内のスピーカーで音楽をかけられる。また、気分やその洋服を実際に着る状況に合わせて、照明を変えて色味や顔映りをチェックすることもできる。
ここまで「試着体験」をスムーズに、かつ楽しく演出されると、買おうかなという気分も高まる。購入する際はレジに行かなくてよい。試着室内のiPad上に表示される「私のクローゼット」の中にある商品リストから、要らない商品を削除して購入ボタンを押す。あとは外に待機している店員にカードを渡すと、お会計をしてくれる。
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