米国ではビジネスモデルを実現するため、人工知能(AI)やビッグデータを当然のように利用している。的確かつ迅速な判断のため、AI担当者を経営の近くに置くケースもある。AI活用を始めた日本企業にとっても参考になる。
筆者はシリコンバレーを拠点に、AIビジネスデザイナーとして、最新のAI導入・開発を日本企業に対して提供している。
普段から米国のスタートアップや一般企業のAI活用を見る中から特徴が見えてきた。
1つは考え出したビジネスモデルを実現するために、AIを当然のように活用していること。そしてもう1つはAIを活用するために最適な人材を獲得し、組織を構築していることだ。
これを読んでいる方の中にも「2019年はAIを活用して現場の課題を解決したい」と考えている方がいると思う。AI活用を成功させる秘訣の1つは、実は組織体制を見直すことにある。何かのお役に立てば幸いである。
こうした米国企業のAI活用を知るうえで、米サンフランシスコに面白いスタートアップがある。会社名はスティッチフィックス。日本でもはやっているサブスクリプションビジネスの先駆けとも言われる存在だ。
毎月5アイテムが届き、好きなものだけ購入
サブスクの対象は洋服などのファッションアイテムである。ユーザーは月額20ドルを支払うことで、スティッチフィックスから毎月5種類の洋服などのアイテムが届く。欲しいものだけキープして、要らないものは数日以内に無料で返送。買い取りたいものの代金だけを支払えばいい。購入すれば、代金から月額料金の20ドルが差し引かれる。
スティッチフィックスは2011年にハーバードビジネススクール在学中の2人が創業し、17年にはナスダック市場に上場した。創業者の1人でありCEO(最高経営責任者)のカトリーナ・レイク氏は、女性最年少でナスダックに上場したCEOとしても有名だ。上場後、18年の売上高は12億2000万ドル(約1310億円)、企業価値は約20億ドル(2160億円)まで急成長した。
スティッチフィックスがここまで短期間で成長を遂げた理由は、AIやビッグデータの活用にある。
服のレコメンデーション、物流システムの最適化、次にはやる洋服の予測と仕入れ、カスタマーサービスなど、ビジネスのあらゆる場面でデータを活用しているのだ。顧客に送った洋服が受け入れられたのかを学習し、次回はより気に入ると思われるものを送付する。似たようなプロファイルの人に対して、ある人が気に入ったものを送ったりもする。
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