トヨタ自動車の「変革の現場」を追うノンフィクション連載第24回。豊田章男社長が周囲の不評に抗しながら2000年に立ち上げた「ITサービス会社」が今、トヨタが力を注ぐ「つながる車」事業の中核を担っている。そしてその取り組みは、業界他社とは「異なるアプローチ」で推進されている。
トヨタ社長の豊田章男がまだ販売カイゼンの現場を率いていた2000年に自ら立ち上げたITサービス会社、ガズーメディアサービス(現トヨタコネクティッド)は、01年に始めたコンビニエンスストア向けの情報端末事業を5年後の06年、大手システム会社に売却した。今やコンビニ店舗に欠かせない情報端末をいち早く開発し、業績も上がっていたが、保守点検などの業務が負荷となり、手放すことになった。
その後、同社はデジタルメディアサービス(03年)、トヨタメディアサービス(08年)と名称が変わり、17年に現在のトヨタコネクティッドになった。その間、彼らがすすめたのはテレマティクスサービス、つまり、車載通信器を装備した車に必要な情報やサービスを提供するビジネスだ。
「コネクティッド」しない車は不便で危険
車載システムの名称も「G-BOOK」から「T-Connect」へと変わったが、それが担うのは個々の車にカーナビ情報などを提供し、逆に、走っている車からは車自体の状態、路面状況、渋滞情報などを取り入れること。その仕組みにより、運転しているユーザーには目的別のアシストをし、車の状態が悪ければ販売店へ入庫を誘導する。ドライバーにとっては秘書であり、水先案内人となり、車にとっては健康診断をしながらメンテナンスする「車の人間ドック」(おかしな表現だけれど)みたいなものだ。
高級車種「レクサス」からサービスが始まり、18年6月からは「クラウン」「カローラ」にも搭載が決まって、いずれすべての車種にも機器がつながるだろう。
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