新しい製品やサービスを生み出せる人材をどう獲得するか。回答の1つが、世界的なITベンダーの仏ダッソー・システムズの試みだろう。日本法人は学生に呼びかけて開催したハッカソンを採用活動の一環とし、学生の適性を見極めようとした。

東京・港区の「THE CORE KITCHEN/SPACE」で開催したハッカソンの模様。日本人や日本に留学中の外国人の約30人が参加した
東京・港区の「THE CORE KITCHEN/SPACE」で開催したハッカソンの模様。日本人や日本に留学中の外国人の約30人が参加した

 製造関連ソリューションなどを手掛ける世界的なITベンダー、仏ダッソー・システムズの日本法人(東京・品川)は、2019年7月29~31日の3日間、東京・港区の「THE CORE KITCHEN/SPACE」で、大学生や大学院生を対象にしたハッカソンを開催した。ダッソー・システムズは同様のイベントをオーストラリアやインドなど各国で開催してきたが、日本国内での開催は今回が初めて。

 応募した学生のうち、日本人や日本に留学中の外国人の約30人が参加。学生たちは数人のチームを組んで、それぞれのテーマごとに解決策を考えた。今回は「デザイン&エンジニアリング」「製造」「MBSE(モデルベースド・システムズエンジニアリング)」「建設&都市づくり」の4つ。初日にはテーマの説明を受け、解決策を検討。各チームには、ダッソー・システムズの社員もサポートとして入る。チーム内での議論は英語や日本語だ。

 ハッカソンの期間中、メンバーはダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE」を使用。3D(3次元)設計や解析、シミュレーションなどの機能によってアイデアを具体化し、開発の期間や予算、経営資源といった要件を織り込みながら解決策を練る。最終日にはチームごとに解決策を英語でプレゼンテーション。外部の識者を交えた審査員が、優秀な解決策を表彰した。

「デザイン&エンジニアリング」「製造」「MBSE(モデルベースド・システムズエンジニアリング)」「建設&都市づくり」の4つのテーマに沿って議論を重ねた
「デザイン&エンジニアリング」「製造」「MBSE(モデルベースド・システムズエンジニアリング)」「建設&都市づくり」の4つのテーマに沿って議論を重ねた
参加者はダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE」を活用して、ソリューションを考える
参加者はダッソー・システムズの「3DEXPERIENCE」を活用して、ソリューションを考える

優秀な人材をどうやって見極め、獲得するか

 これだけなら一般的なハッカソンと変わらない。自社の製品を深く理解してもらうためのPR手法の1つにすぎない。だが、今回のハッカソンを主導するのはダッソー・システムズの人材採用部門。3日間の行動や発言などで、それぞれの学生の能力を見極めるために開催した。PR活動というより、むしろ採用活動に向けたハッカソンだった。

 「お客さまの課題に対する解決策を提案しないとソリューションとして選ばれない。その課題も、ますます複雑化、複合化している。今までの領域とは異なる領域に乗り出そうとする企業もある。自分で考えるだけでなく、さまざまな人と協力しながら、専門領域を超えた結び付きをつくり、新しい方向性を見つけて新たな価値を生み出せる人材が求められている」とダッソー・システムズ日本法人の広報担当、佐藤有喜子氏は言う。

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