創造性を生かす仕組みづくりに取り組んできたパナソニックから、新規事業が続々と登場している。インキュベーション組織の「100BANCH(ヒャクバンチ)」、全社横断のデザイン本部、アプライアンス社の「ゲームチェンジャー・カタパルト」などで、新しい発想が開花した。今回は100BANCHの事例を紹介する。

「RGB_Light」は空飛ぶ円盤のような外観で、3色のLED照明をスマートフォンで制御する。本体は直径303×高さ109.7ミリメートル、重量960グラム。アルミ製にしたのはデザインへのこだわりのためだという
「RGB_Light」は空飛ぶ円盤のような外観で、3色のLED照明をスマートフォンで制御する。本体は直径303×高さ109.7ミリメートル、重量960グラム。アルミ製にしたのはデザインへのこだわりのためだという

 一見すると普通のLEDライトだが、スイッチを入れると照射するのは白い光ではなく、赤や緑、青の光だ。しかも浮かび上がるのは黒い影ではなく、3色が表現する色とりどりの影。光の3原色を別々に照射し、わざと光の焦点をぼかすことで、今まで見たことがない不思議な光景が広がる。

 これはパナソニックやロフトワーク、カフェ・カンパニーが共同で運営するインキュベーション施設「100BANCH」から生まれて、事業化につながった初の製品。名称は「RGB_Light」で、発案したのは外部のグラフィックデザイナーでアートディレクターの河野未彩氏。赤や緑、青の光の色をスマートフォンのアプリで操作。3つの色相を調整し、影の色を変化させる。「ランプシェードはアルミのへら絞りで作り、空飛ぶ円盤のようなデザインにしている。アートとテクノロジーの融合で、今までにない価値を提供する照明器具にしたかった」と河野氏は言う。

 2019年7月9日より先行予約を開始し、19年内に発売予定。価格は15万円程度。想定する市場は、バーやカフェなどの店舗の照明。白いライトにも切り替えられるので、一般家庭などさまざまな用途がありそう。光の3原色を学ぶ教育現場も視野に入れる。既に一部のレストランなどで試験運用しており、今後は年間で1000台を発売していく方針。受注内容に応じて一部の仕様も変更できる。

テーブルに置いてあるものに照射すると、影が多くの色に分かれ、今まで見たことがない光景が広がる
テーブルに置いてあるものに照射すると、影が多くの色に分かれ、今まで見たことがない光景が広がる
受注内容に応じて仕様を一部変更することもできる。写真は通常のRGB_Lightより外観を大きくしたもの。ただし光の調整などが新たに必要になるため、開発の期間やコストがかかりそうだ
受注内容に応じて仕様を一部変更することもできる。写真は通常のRGB_Lightより外観を大きくしたもの。ただし光の調整などが新たに必要になるため、開発の期間やコストがかかりそうだ

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