デザイン経営とは何か

「デザイン経営」は、ブランドとイノベーションを通じて、企業の産業競争力の向上に寄与するという(「『デザイン経営』宣言」の報告書より)
「デザイン経営」は、ブランドとイノベーションを通じて、企業の産業競争力の向上に寄与するという(「『デザイン経営』宣言」の報告書より)

企業の根幹にこそデザインの「考え方」を取り入れよ

 デザイン経営とは、イノベーションの創出やブランディングといった企業経営の中核に、デザインの要素を取り入れた経営スタイルである。商品の開発などでデザインを重視している企業は多いが、それは色や形といった狭義のデザインであり、商品開発のプロセスでは下流工程に属するものだった。開発部門の下にデザイン部門が置かれるなど、どちらかと言えば、デザインの役割が低く捉えられていた。

 しかしデザイン経営ではデザインを重視し、商品開発の上流に置く。商品の色や形だけでなく、商品のコンセプトづくり、企業のブランディングなど経営の根幹に関わる部分を担う。広義のデザインとして、デザイン経営を捉える場合も多い。このため経営トップの直属にデザイン部門を配属し、CDO(チーフ・デザイン・オフィサー)を置く企業も出てきている。イノベーションの創出にもつながるため、デザイン経営に関心を抱く経営トップも増えている。

「デザイン経営」のための具体的取り組みを示す。「経営チームにデザイン責任者がいること」「事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること」が重要になる(「『デザイン経営』宣言」の報告書より)
「デザイン経営」のための具体的取り組みを示す。「経営チームにデザイン責任者がいること」「事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること」が重要になる(「『デザイン経営』宣言」の報告書より)

経産省・特許庁もデザイン経営を宣言

 これまでは企業が独自にデザイン経営に取り組んできたが、流れが一気に変わりつつある。経済産業省・特許庁は2018年5月23日、デザインによる企業の競争力強化に向けた課題の整理と対応策を検討してきた内容をまとめ、「『デザイン経営』宣言」と題する報告書として発表したからだ。従来のデザインの考え方を超え、企業経営に大きく関わる存在としてデザインを再定義している。

 「『デザイン経営』宣言」によると、デザイン経営とは、デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営であるという。「デザイン経営」の条件として、(1)経営チームにデザイン責任者がいること、(2)事業戦略構築の最上流からデザインが関与すること、の2点を挙げている。デザイン責任者とは「製品やサービス、事業を顧客起点で考えられているかどうか、ブランド形成に資するものであるかどうかを判断し、必要な業務プロセスの変更を具体的に構想するスキルを持った人」を示すという。

 デザイン思考とデザイン経営は、直接に結び付くものではない。デザイン経営はイノベーションやブランディングが目的なので、外部のデザイナーやクリエイターに依頼して進めることができる。社員にデザイン思考を学ばせているからといって、デザイン経営を推進しているとは言えない。しかしデザイン思考を学べば、デザイナーやクリエイターとの共通言語になることは確か。デザイン経営を推進しやすくなることは間違いない。