サブスクリプション事業の成功に大切なのは、お客さまに「素晴らしい価値」と「素晴らしい顧客体験」を提供することだ。CustomerPerspective 代表取締役 紣川謙(かせがわ けん)氏による連載の第3回はサービス設計実務で使える「コア・バリュー・プロポジション(CVP)」などを解説する。

 連載第3回のテーマは、サブスクリプション事業を成功に導くためのサービス設計です。素晴らしい価値を提供するために、サービス設計の実務で使える「コア・バリュー・プロポジション(CVP)」という枠組みと、価値・経験を継続的に高め、お客さまの信頼を獲得するための仕組みについて書きます。プライシング(料金設定)やモノのロジスティックス(モノの流れとその計画・管理)など、サービス設計上で重要かつ難しい点についても考えます。

コア・バリュー・プロポジションとは

 最初にご紹介するCVPは「顧客に提供する価値の核心」と言い換えることができます。CVPは私がマーケティングを仕事とするようになってから、20年以上ずっと大切にしてきた考え方で、現在もクライアントとサービスの訴求力を検証するのに役立っています。

 具体的には、サービスの価値を簡潔に、数行の文章で人に説明してみてください。CVPに大切な要素は、誰(対象となるお客さま)に、どのような便益(ベネフィット)を、いくら(料金)で提供するかです。CVPを簡潔に、かつサービスの魅力が明確に伝わるように書くのは大変難しいので、ぜひ試してみてください。現実には、簡潔に価値を伝えられないと、お客さまには分かっていただけません。CVPを人に見せて「これはいいね!」「ワクワクするね!」「ぜひ使いたいね!」と言ってもらえれば、きっと素晴らしく価値のあるサービスをつくることができるでしょう。

 マーケティング上のメッセージはCVPをそのまま使うのではなく、媒体の性格に応じて修正します。CVPはサブスクリプションに限らず、すべてのプロダクトやサービスを考えるときに使える枠組みです。

誰に、どのような便益を、いくらで提供するかを基に、コア・バリュー・プロポジション(CVP)を簡潔に書こう
誰に、どのような便益を、いくらで提供するかを基に、コア・バリュー・プロポジション(CVP)を簡潔に書こう

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