※日経トレンディ 2019年1月号の記事を再構成

年間約8万冊もの新刊が出版されるといわれる時代、どの一冊を読むべきか迷うのは当然といえる。「外さない」ビジネス書選びのコツはただ一つ、「名著を読む」ことだ。仕事のプロは、どんな本を愛読しているのか。特集の1回目は、年末年始にぜひ読みたい、ビジネスに必携の名著を推薦してもらった。

 名著には、時代を超えた不変の原則をはじめ、あらゆる仕事のヒントが書かれている。読み手の年齢や経験の蓄積に応じて、得られる気づきが変わることも少なくない。昔読んだ本でも、仕事内容や役職が変わったタイミングなどで読み返せば、新たな発見を得られる。

 今回、マーケティング力やイノベーション力にたけた「プロ仕事人」が厳選した必携本には、ビジネスパーソンなら一度は読むべき名著が並んだ。C Channel社長の森川亮氏は、名著ランキング1位の『イノベーションのジレンマ』の他、『ビジョナリーカンパニー ②』『7つの習慣』を推す。いずれも、リーダー層や経営者を目指す人なら読んで間違いない本ばかりだ。

森川 亮氏が推す3冊

ビジネスに効く!プロ仕事人が厳選「何度も読みたい必携の名著」(画像)

C Channel社長
日本テレビ、ソニーを経てハンゲームジャパン(現LINE=ライン)入社。2007年に同社社長。15年に退任し、アドバイザーとして顧問に就任。現在はC Channel社長


イノベーション・マネジメントに学ぶ経営のリアル

『イノベーションのジレンマ 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき』
クレイトン・クリステンセン、玉田俊平太(監修)、伊豆原弓(訳)/翔泳社
税込み2160円

 大企業で合理的な判断を積み重ねると、発展に必要だったはずのイノベーション自体が足かせになり、追い詰められるケースが生じかねない。そんな「破壊的イノベーション」を検証した一冊。ホンダが進出した北米市場やインテルが支配したマイクロプロセッサ市場など、事例を挙げながら解決策を探る。

「業界をリードしていた企業が市場や技術の変化に直面したとき、図らずも地位を守れず失敗するという話から、企業が成長し続けるうえでの課題や、状況を打開する策を学べる」(森川氏)
「業界をリードしていた企業が市場や技術の変化に直面したとき、図らずも地位を守れず失敗するという話から、企業が成長し続けるうえでの課題や、状況を打開する策を学べる」(森川氏)

後悔しない人生のための7つの成功原則とは?

『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』
スティーブン・R・コヴィー、フランクリン・コヴィー・ジャパン(訳)/キングベアー出版
税込み2376円

「終わりを思い描くことから始める」「まず理解に徹し、そして理解される」といった、ビジネスだけでなく豊かな人生を送るための7つの習慣を分かりやすく提示。自己啓発系ビジネス書の古典ともいうべき名著。

「長期的に影響を受け続けている本。読むだけにとどまらず、著者であるコヴィー博士のセミナーも受け、フランクリン・プランナーの手帳も使用中」(森川氏)
「長期的に影響を受け続けている本。読むだけにとどまらず、著者であるコヴィー博士のセミナーも受け、フランクリン・プランナーの手帳も使用中」(森川氏)

著しく成長し、実績を維持する会社を徹底検証

『ビジョナリーカンパニー② 飛躍の法則』
ジム・コリンズ、山岡洋一(訳)/日経BP社
税込み2376円

 ジレット、フィリップ・モリスなど、著しく成長し、その後15年にわたり傑出した業績を維持し続けた米国の11社を「偉大な企業」と呼び、それぞれを競合と比較。そこから見えてくる「飛躍の法則」を検証する。

「経営者の行動特性など、数字だけでは表せない部分に価値を見いだし、それを追求する内容に共感。経営に必要な考え方が学べる」(森川氏)
「経営者の行動特性など、数字だけでは表せない部分に価値を見いだし、それを追求する内容に共感。経営に必要な考え方が学べる」(森川氏)

 一方、マクアケ社長の中山亮太郎氏が挙げた『ここらで広告コピーの本当の話をします。』は、クリエーターの小霜和也氏が書いたコピーライティングの「教科書」。特に、広告や販促に携わる人は手に取るといい。

中山亮太郎氏が推す3冊

ビジネスに効く!プロ仕事人が厳選「何度も読みたい必携の名著」(画像)

マクアケ 社長
13年にサイバーエージェント・クラウドファンディングを設立し、社長に就任。同年、クラウドファンディングサービス「Makuake(マクアケ)」をリリース


17年間日本での出版が認められなかった「幻の名著」

『ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か』
エリヤフ・ゴールドラット、三本木亮(訳)/ダイヤモンド社
税込み1728円

 企業の目的は長期にわたりお金をもうけること。機械メーカーの工場長である主人公が展開する物語から、目的達成のための合理的な思考プロセスを説く。

「企業はミッションだけでなく、オペレーション改善という実務も重要。それにより、不可能が可能になると実感」(中山氏)
「企業はミッションだけでなく、オペレーション改善という実務も重要。それにより、不可能が可能になると実感」(中山氏)

成功を収める戦略に潜む「ストーリー」を学ぶ

『ストーリーとしての競争戦略 優れた戦略の条件』
楠木建/東洋経済新報社
税込み3024円

 優れた戦略には、思わず人に話したくなるようなストーリーが組み立てられている。企業の成功事例を基に、競争戦略の背景にある考え方や競争優位をもたらす論理を明らかにする。

「ゴールを決めるためのキラーパスとなる『クリテ ィカル・コア』の概念が、わかりやすく実践的に書かれている」(中山氏)
「ゴールを決めるためのキラーパスとなる『クリテ ィカル・コア』の概念が、わかりやすく実践的に書かれている」(中山氏)

お金を生むコピーライティングの秘訣が分かる

『ここらで広告コピーの本当の話をします。』
小霜和也/宣伝会議
税込み1836円

 広告キャンペーンでプレイステーションに全盛期をもたらし、今なお最前線で活躍するクリエーターによる「コピー 1本で100万円請求するための教科書」。

「商品の魅力を発揮させる方法だけでなく、クリエーティブディレクションも学べる一冊」(中山氏)
「商品の魅力を発揮させる方法だけでなく、クリエーティブディレクションも学べる一冊」(中山氏)

 マーケティングのプロであるネスレ日本の石橋昌文氏が選定した『未来の年表』は、日本の行く末を具体的に提示した“予測本”。ビジネス戦略を立てる際、手元に置くべき一冊だ。

石橋昌文氏が推す3冊

ビジネスに効く!プロ仕事人が厳選「何度も読みたい必携の名著」(画像)

ネスレ日本 専務執行役員 チーフ・マーケティング・オフィサー マーケティング&コミュニケーションズ本部長
17年よりネスレ日本専務執行役員。現在はCMOとして、マーケティング力を発揮させる役割を担う。日本マーケテ ィング協会常任理事


少子高齢化社会の到来を具体的に予測したベストセラー

『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』
河合雅司/講談社
税込み821円

「20年、女性の2人に1人が50歳以上」「24年、3人に1人が65歳以上」「33年、全国の住宅の3戸に1戸が空き家」など、将来推計人口データで日本の未来を提示。

「高齢化が進む社会がもたらす新しい現実は、日本における『静かなる有事』。多くの人に読んでもらいたい本」(石橋氏)
「高齢化が進む社会がもたらす新しい現実は、日本における『静かなる有事』。多くの人に読んでもらいたい本」(石橋氏)

仕事を軌道に乗せたいリーダー必読の書

『ハーバード・ビジネス式 マネジメント 最初の90日で成果を出す技術』
マイケル・ワトキンス、村井章子(訳)/アスペクト
税込み2376円

 新任リーダーは就任直後の90日が勝敗を分ける。キャリアを棒に振ることなく順調に仕事を軌道に乗せるための、昇進後の移行期90日を乗り切るためのロードマップを提示。

「スムーズなトランジションを行うための具体的な方法が書かれている。私自身、研修時に読んだことで非常に役立った」(石橋氏)
「スムーズなトランジションを行うための具体的な方法が書かれている。私自身、研修時に読んだことで非常に役立った」(石橋氏)

自分の強みを生かすヒントやアイデアが満載

『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』
トム・ラス、古屋博子(訳)/日本経済新聞出版社
税込み1944円

 仕事や人生で成功するには、自分の強みと生かし方を知ること。本に記されたIDを使い、ストレングス・ファインダーというサイトで隠れた才能に気づける。

「強みを生かすか弱みを改善するかは、人材育成で問われる部分。本書では強みを再発見できる」(石橋氏)
「強みを生かすか弱みを改善するかは、人材育成で問われる部分。本書では強みを再発見できる」(石橋氏)