新たなテクノロジーやビジネスモデルの登場によって、大幅に進化しつつある食分野。本特集は、食品にとどまらず、家電、小売り、AI・IoTといったテクノロジー分野などを幅広く巻き込んだ近未来の食の革命、「イノベー食(ショク)」の衝撃を先進事例から読み解く。第4回は、米国におけるロボットの活用について取り上げる。
米国ではレストランなど飲食業におけるロボットの活用が進んでいる。ロボットが調理するという話題性もさることながら、人件費が上昇しており働き手の確保が難しくなっていることも背景にある。できるだけ少ない人手で、かつ顧客に「早い、安い、うまい」を提供するのが目的だ。
それを実現するのが、テクノロジーと一流シェフなど料理人とのコラボレーションである。マサチューセッツ州ボストンのダウンタウンにあるレストラン「スパイス」はそうした流れの最先端を行く。
栄養価が高くおいしい料理を安価に
スパイスは2018年5月に、マサチューセッツ工科大学(MIT)のメカニカルエンジニアリングなどを学んだ4人の学生が立ち上げた。さながらシリコンバレーのスタートアップのように立ち上げられたレストランである。それは、(1)エンジニアと専門家の融合、(2)UXの重視、(3)パーソナライズ、の3要素から見て取れる。
MITの水中ポロのチームメートだった彼らは、安価で栄養価が高くておいしい食事を提供できないものかと考えて結集した。
10ドルもするテイクアウトのランチは、アスリートである彼らの必要とする栄養を満たすことができなかった。しかし、ランチに20ドルも30ドルも出すことはできない。エンジニアである彼らは、この課題をロボットで解決できないかと考えるようになったのだ。
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