RPAの導入でさらなる生産性向上

 飲食業では、本部と店舗間で共有すべき情報が思いのほか多い。店舗ごとの売り上げ、仕入れ状況、衛生点検の結果、顧客満足度調査や従業員満足度調査の結果など、多岐にわたる情報が日常的に本部と店舗の間でやりとりされている。以前は、それぞれの目的ごとに異なるシステムを利用していたため、情報が分散化していた。従業員は取得したい情報ごとに、それぞれのシステムに都度アクセスしなければならず、作業時間はおのずと長時間に及んでいた。

串カツ田中はクラウドサービスを導入し、社内に分散していたデータの一元管理を可能にした
串カツ田中はクラウドサービスを導入し、社内に分散していたデータの一元管理を可能にした
管理画面では店舗ごとの情報が一目瞭然だ
管理画面では店舗ごとの情報が一目瞭然だ

 情報へのアクセスが非効率なため、最新の情報を得ずに業務を進めてしまうようなケースも発生していた。これが業務の質の低下を招いていた。情報管理の効率化と社員間のコミュニケーションの円滑化を併せて実現したい。その思いが、クラウドサービスの導入を後押しした。

 もっとも、クラウドサービスの導入だけでは対応しきれない業務もある。そこで、定型業務を自動化するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入を積極的に試みている。本部に提出する書類の多くは、定型化された書類だ。記載すべき項目の半数以上はタイトル、名前、日時、概要など、既定の項目になっている。そうした項目はRPAで自動生成し、残りを従業員が記載すれば済むようにシステム化している。徹底した事務作業の削減に取り組んでいる。

急拡大でも離職率半減

 ITの活用による業務負荷の軽減は、離職率の低下にもつながる。串カツ田中は18年度に1年間で56店舗を新規出店した。店舗拡大に伴い、従業員は1年間で100人近く増えた。その一方で、離職率は半減している。

 「ITを活用することで高付加価値化と効率化を実現しているため、従業員満足度(ES)は高まっている。ESが高まることでおもてなしに間違いなく良い影響が出ている。結果として、顧客満足度(CS)も高まっている」と取締役の大須賀伸博営業戦略部長は語る。また、「店舗ではまだまだ紙で管理している情報も多い。なるべく多くのものをシステム上でやり取りして、どんな情報もすぐに手元に届くようにしていきたい」(大須賀氏)と続ける。今後もITへの投資を続ける考えだ。

 クラウドサービスに支えられ、従来の飲食店の働き方から進化を続ける串カツ田中の次の一手は何か。これからも目を離せそうにない。

(写真提供/串カツ田中)