「タスクマネジメント」が肝に

 成功事例を研究するなかで、筆者が導きだした働き方改革モデルを下図にまとめた。各社の共通点として浮かび上がったのが「タスクマネジメント」だ。タスクマネジメントとは、一つひとつの職務内容や特性を明らかにし、適切な人材に職務を任せられるように、タスクそのものを変えていくことである。

「タスクマネジメント」により、「高付加価値化」と「効率化」を実現することで、従業員満足度を向上させ、結果的に顧客満足度の向上につながる
「タスクマネジメント」により、「高付加価値化」と「効率化」を実現することで、従業員満足度を向上させ、結果的に顧客満足度の向上につながる

 タスクの性質は、大きく2つに分かれる。価値創造につながるタスクと、それ以外のタスクである。価値創造につながるタスクを見極め、さらなる高付加価値化につながるようにタスクの進め方やゴールを変えることで、サービス業では従業員の働きがいが高まっていく傾向にある。

 それ以外のタスクに分類されるものは、効率化を進めることで、従業員の働きやすさが向上する。このようにタスクのあり方を変えていくことが、タスクマネジメントなのである。

 タスクマネジメントによって働きがいと働きやすさの両方が高まることで、従業員満足(ES)の向上が実現する。高いESを維持することで、顧客満足(CS)の向上と従業員定着率の向上の2つの効果をもたらすことになる。

 自分の職場や仕事に満足している、つまりESの高い従業員は、必然的に接客の質が高まる。質の高いサービスを提供することで、高い顧客満足度につながる。顧客の満足度を高めることはリピート率の向上や、口コミ拡散による新規顧客獲得といった効果をもたらすことで、売り上げ拡大が期待できるようになる。

 従業員の定着率向上にも寄与する。そもそも人材の入れ替わりが激しいサービス業で、定着率が高まり人が辞めなくなれば、採用費など人材確保にかかわるコストや教育コストが激減する。経営的にも大きなインパクトが生まれてくるのだ。

 宿泊業以外のサービス業でも、同じようにITを活用したタスクマネジメントを起点に、働き方改革を成功に導くことはできるのか。2回⽬以降は、飲⾷業などでの事例を紹介しながら、サービス業での働き⽅改⾰の取り組みを紹介する。

(写真提供/元湯陣屋)