ビジネスパーソンを悩ます「無駄な会議」を減らし成果につながる「意思決定の場」に変えるにはどうすればよいか。一休の榊淳社長はロジカルシンキングに基づく独自のディスカッション術を提言する。

テーマが大きすぎる会議は「闇夜の鉄砲」のようなもの。どれほど時間をかけて議論しても疲弊するばかり。結論が“的に当たる”ことは少ない(写真/Shutterstock)
テーマが大きすぎる会議は「闇夜の鉄砲」のようなもの。どれほど時間をかけて議論しても疲弊するばかり。結論が“的に当たる”ことは少ない(写真/Shutterstock)

 社内外を問わず、いろいろな会議に出席して僕が常々感じるのは、議論するテーマが大きすぎるものが多いなということです。

 例えば、「会社の利益を最大化するにはどうすればよいか」というようなものがそれです。こうしたテーマ設定では、たとえ役員会議でもテーマが大きすぎて議論しきれません。それなのに現場レベルの会議でも、こうした(大きなテーマの)会議が少なくないようです。

 するとどうなるか。参加者から出てくる意見が「広告の出し方をこう変えればいい」とか「海外事業をこう伸ばせばいい」といった大ぶりなアイディアだけれども、思考が十分に深まっていないことが多いように思います。

 前職のコンサルティングファームでロジカルシンキングを学び、経営者としてもずっと実践してきた立場からすると、こういう議論の仕方は「闇夜の鉄砲」に見えます。やみくもに議論しても話が発散するばかりで、的に当たることは少ないからです。

 もちろん天才的な経営者とか、すごい見識をお持ちの方なら、一発で正解を言い当てることもあるでしょう。でもそれは極めて稀なケース。僕はこういう議論の仕方はなるべくしないようにしています。

 ではどうするかというと、その方法はシンプル。議論の対象となる会社やビジネスがどういう構造になっているのかを検討して、それを構成する要素に細分化し、議論していくのです。

 利益は、売り上げからコストを引いたものだから、まずこの(売り上げとコストの)2つに分けて考えることができる。当社の場合なら売上高に相当するのはホテルやレストランの取扱高。これを増やすには新規客を増やすか、既存客の利用回数を増やすか、あるいは取り扱う施設を増やす施策が必要、というように分割し、その構造をホワイトボードに図解していき、出来上がった図を皆で眺めます。

 そして「どれが目的に一番影響するのか」、つまり利益を最大化するのがゴールなら何が一番のキーファクターになるのかを考えるのです。

 議論の結果、例えば、新規客を増やすのが一番効果的だとなったら、それを実現する具体的な施策を検討していくわけです。例えば認知を高めたり、検索のSEO対策を強化して流入を増やしたり、リスティング広告を増やしたりすれば、新規客を増やすことができるだろうなどと考えるわけです。

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